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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第二章 動き出す脅威
22/65

0004-01

今回から0004話です!

 町に入り大通りを歩いていた。買い物帰りの女性達が木陰で井戸端会議をしている光景も見慣れている。


 しかし、恋人達がめっきり減った気がする。いつもなら、イチャイチャしながら大通りを歩いている恋人がいるのだが。今日は居ない。珍しい日だと思っていた。



「おかえりっ!ヨイヅキ」

 大通りでシュトラウスに会った。今日は大神殿での仕事は無いのだろうかと思ったが、目の前にいると言うことは無いのだろうとヨイヅキは思っていた。


「それと、弐之刻《教皇》が討伐されたみたい。石板の石が砕けてた」

「そうか、それは良かった」

 弐之刻が討伐されたらしい。これで、討伐された十刻災厄は二体。多くて後、八体は現れるのだ。この町に現れないで欲しいと思うばかりである。


「あぁ、今日は仕事ないのか?」

「ぎくぅっ」

 気になっていたことを聞くと分かりやすく動揺した。ここには無断で出てきた(サボっている)だろう。


「カーミレちゃんもお疲れさま。この男(ヨイヅキ)に愛想尽かしたら私の所に来てね」


「おいっ」

「そんな時は来ないよ?」

 そう小首を傾げて言った。その言葉を聞いて少し嬉しそうなヨイヅキ。その後にとりとめもない話をした。今、噂になっている痴情の縺れによる殺人や暴行が横行していること。大通りに新しく出来た菓子の店の焼き菓子が大人気になっていること。




「あ、そこに居られましたか!早く戻ってください」

 ドタドタと三人の神官がシュトラウスを囲む。全員が全員困り顔で呆れ顔である。常習犯であるのだろう。




「えへへへ」

「仕事してこい。シュトラウス」

 ヨイヅキは苦笑いしながらそう言った、連行されていくシュトラウスだった。逃げずにさっさと、仕事を終わらせれば良いものを、とも思ったヨイヅキであった。




 家に戻ってきて、ローブを脱いだ。今回はほとんど汚れていないので全体を濡れた布で拭くことにする。そして、ヨイヅキの真似をしながら一生懸命に自分のローブを拭いているカーミレ。



「ふぅ。改めてお疲れさま。カーミレ」

「うん!」

 ゆっくりと椅子に座った。魔力はほとんど使っていないので疲れていない。






※※※






 神官達に捕まり、強制的に仕事をさせられる。減らずにどんどん溜まっていく仕事にだんだん嫌になってくる。第一、私は聖女なんかじゃない。他の人よりも少しだけ光系統の上位である聖属性に適正があっただけなのに。


 そもそも、どうして聖女が大神殿長にならないといけないのさ。やりたい人がやればいいのに。私はやりたくない!




「仕事したくな~い~」

「そう言われても、シュトラウス様。こちら、お茶と茶菓子です」

 そう言って書類から少し離れた所にカップを置いていった。一口、茶を口に含む。かなり上質な茶葉を買ってきてくれたみたいだ。香りも味も良い。どこから、そんな金が出てくるのか分からないけど。


「ふぅ。頑張らないとなぁ」

 独り言を呟いてまた書類に目を通し始めた。





 日が暮れ始め、開けっ放しの窓からは茜色の光が差し込んできた。かなり仕事は片付いたと思う。我ながら頑張った!


 部下の一人に今日はもう帰る、とだけ告げて返答を待たずに大神殿から出た。



 大通りから少し離れた所にある酒場に入った。ここは、酒類とつまみが美味しいのでお気に入りなのだ。いつもの席に座った。店員が何も言わずにエールを渡してくれる。ずっと最初にこれを頼んでいたので、最近では何も言わずににエールが最初に出てくる。


「疲れたぁ」

 大きめのコップに入ったエールを一口で半分程飲み干した。いつかは、アイツとも飲みに行きたいもんだ。毎回断られるけど。いったい、どうして断られるんだか。そんなに苦手なのか?



「おすすめで、あとおかわり」

 飲み干すと同時に店員がメニューを聞いてきた。あえて、おすすめにすることで色々な味を楽しむ戦法だ。これを発見した時、私は天才じゃないのかと思った。



「同じ席に座っても?」

 青年が私の前に立っていた。顔はまぁ、アイツの方が上かな?だがかなりの美形である。イケメンだイケメン。黒銀の髪に黒い瞳のイケメンが私の前に座った。


 店員が何を頼むか聞くと、彼女と同じものをと伝えていた。珍しく口説きにでも来たのか?


 それはないか、こんな老いぼれにナンパなんて。

読んで頂きありがとうございます!


ふむ、最近はどうやら決まった人に読んで頂いているようですね。嬉しい限りです。



誤字脱字やコメントが頂けたら……なんて、図々しいですね。すいません。


では、また明日の5:00に!

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