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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第一章 始まりや出会い
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0003-03

この前にも、連続して投稿しています。ご注意下さい。

 ヨイヅキはナルトリア大神殿へと向かっていた。まだ昼前で人通りも多い。歩きながら町の人々の喋り声に耳を傾けていた。娯楽という娯楽の少ないこの町で、噂話はかなり囁かれている。


「さすがに熱くなってきたな」

 数ヵ月前までは肌寒かったのが、今になっては熱さすら感じさせるほどに気温が上がっていた。毎年のことなのだが。




「ふぅ、ついた。やはり、大神殿は涼しい」


 うっすら汗をかいてやっとたどり着いた。ナルトリア大神殿と図書館には気温を変動させる魔道具があるので、気温が高い時には涼しく、低いときには暖かい。


「あっ、ヨイヅキ!」

「シュトラウスか。話がある。部屋を開けてくれないか?」


 大神殿にはそこそこの人がいる。祈りを捧げるものや涼みに来た者などだ。そのような人達には聞かれたくない話題なのだろう。

 ヨイヅキの言わんとすることを察したシュトラウスは、わかった、着いてきてとだけ言って歩き出した。それに着いていく。



「ここなら盗聴の恐れもないよ」

「感謝する。単刀直入に言う。秘匿している十刻災厄の石板があるだろう?それを見せてくれ」


「なんで知ってるの?」

 すっ、と目を細めたシュトラウス。なにかを感じ取ったのだろうか。そんなシュトラウスの雰囲気も柳に風とばかりに受け流していた。


「水面と影に挟まれて、黒き兎は跳び跳ねる。人が知らぬに価値がある」

 不思議な詠唱にシュトラウスが立ち上がる。致死性の魔法なら対抗するか回避するためだろう。



「およびですかい?影と茨の魔術師様。おやおや珍しい。聖女サマもいらっしゃいますね」

 ヌルリと影から現れたのは黒兎だった。赤い瞳がシュトラウスを見る。



「私は聖女と呼ばれるのが嫌いなの」

「それはそれは、失礼しました。ではなんとお呼びすれば?」

 行儀良くペコリと頭を下げる。器用なものである。イライラしているのか、黒兎を睨む目がより鋭くなる。


「私はただのシュトラウスよ 」

「では、シュトラウス様、と」


「こいつに聞いた。石板のことは」

「はい。影と水面に潜む黒兎は様々な情報を取り扱う情報屋でして」


「はぁ。そういうことね」


 納得がいった、というようにため息をついた。噂には聞いたことがある、対価を払えば全ての情報を教えてくれる情報屋。


 目の前の情報屋(黒兎)を使えば簡単に十刻災厄の石板を持っていることもバレるだろう。



「見せて貰えないか?」

「はぁ、いいわよ。少し待っていて」

 扉を開けて外へと出ていった。コツコツと足音がかなり早い速度で音をならしている。そうとうイラついているようだ。



「感謝しているぞ。黒兎」

「いえいえ、商売ですのでね。それでは対価を」


「いいぞ。銀貨二枚だったか?」

「えぇ。毎度あり。では、御贔屓に」

 スルリと影が溶けて黒兎が消えた。そこから数分の間、シュトラウスを待っていた。



「これでいい?」

 見せられたのは少し大きめの懐中時計のような物だった。しかし、懐中時計なら一から十二までの数字が等間隔で並んでいるものである。しかし、この石板には一から十までの数字が等間隔で黄色い石が並んでいた。二つ足りないのだ。


 しかも、壱と書かれていた場所の石だけ砕けていた。そして、隣の弐と参が輝いていた。



「なぁ、これって」

「うん。私も久しぶりに見たけど、記憶と違う。こんなに輝いている石は()()()無かったよ」


ここからは、不定期投稿となります。

すみません。

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