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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第一章 始まりや出会い
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0002-07

 ゆったりと朝日が顔を出す。開けっぱなしの窓から光が差し込んでくる。


「カーミレ。起きろ。起きろ」

 ヨイヅキが何度もカーミレの肩を揺らすが中々目覚めない。余程昨日は疲れていたのだろう。


「ふぇぁ」

「やっと起きたか。おはよう」

「おはよぉ。ヨイヅキ」



 今日は忙しく成りそうだったので、せかせかと朝食やら身支度を終わらせた。実はヨイヅキも起きるのが遅かったのだ。

 もう少しで昼前になりそうなのだ。





※※※





「何とか、間に合ったな」

「セーフ、だね」

 服はどれも新品だったのでカーミレセレクトである。ヨイヅキには悲しいほど洋服を着こなすセンスがなかった。


 今はさすがにいつものラフな格好ではなく正装できている。




 ナルトリア大神殿には多数の人達が来ていた。まだまだ幼い子供達の声でガヤガヤしていた。そんな様子を見ているとカーミレがいかに優秀かわかった。あんなにガヤガヤされたら、恐らくヨイヅキには育てられなかっただろう。そんなことを感じながら、空いていた席に座った。



「今回は、ナルトリア大神殿の祝福儀式によく入らしました。私たちはあなた達を歓迎します」

 座ってから数分経って、大神殿長がやって来て喋り始めた。本当にギリギリであったことに冷や汗を流していた。


 大神殿長は、獣人の中の狐人らしい。特徴的な耳と尻尾が見える。茶色い長髪に恐らく茶色い瞳。どことなく懐かしく感じる風貌だった。



「ねぇ、ヨイヅキ。なんでおねぇちゃんがあそこで立ってるの?」

 小声でカーミレが聞いてきた。おねぇちゃんと呼ぶのはシュトラウスしか居ないが、それはあり得ないような気がした。何故なら神殿長という職業は多忙である。


 そんな、毎日毎日遊べるような職業ではないのだ。


「いや、違うと思うぞ?」

 小声で返答する。そっか、とだけ呟いて大神殿長の話を聞いていた。



「──皆さんは、今日ここで祝福を受けたらほとんど大人と一緒です。自分で考えて生きていかなければなりません。そして、その行動には責任が伴うものなのです──」


 かなりの長い時間大神殿長が喋っている。カーミレはずっとそれを聞き入っていた。凄まじい集中力である。



「では、祝福をしましょう」

 大神殿長が杖を掲げた。淡い光が杖に集まっていく。太陽がちょうど、ナルトリア大神殿の上に登りステンドグラスは七色の煌めきを放つ。そして、中心にいる大神殿長が幻想的に見える。


「あまねく子らに祝福を。闇を払い穢れを払い、闇に堕ちることのないように。聖母はここで微笑み、ここに奇跡を顕現する!」

 子供達に光が飛んでいく。まさに祝福だった。




「では魔力適正を行います。いま、私の手の上で揺らめいている光の色を近くの神官に伝えてください」

 そういうと、大神殿長は杖を台の上に置き右手を掲げた。炎のように淡い光が揺らめいていた。


「カーミレ、何色に見えるか?神官に伝えてきてきたらどうだ?」

 うん。と言って神官の元に駆け出していった。



「えっとね、黒く見えるし水色にも見えるの。そしてね、あのモヤモヤの回りを茨が巻き付いているの」

 神官にカーミレはそう告げた。すると、神官は驚いたような顔になった。


「珍しいですね。あなたは闇と水、そして茨が使えるみたいですね。昔からいる黒竜もあなたのような属性だったみたいですよ」

 一瞬、ヨイヅキはドキリとした。さすがに、バレてはいないだろう。そして、同時に嬉しくも思えた。自分の属性を継いでいてくれたのだ。それに、神官の言葉もだ。


 無条件に竜を嫌う風習は大分薄れてきているようだ。



「やぁ、驚いたかい?」

 先程の大神殿長が話しかけてきた。どうやら本当にシュトラウスだったようだ。


「おねぇちゃん、すてきだったよ!」

「だろう?黙っていてごめんね。驚かせたくて」


「まさか、大神殿長だったとはな。驚いたぞ」

「えへへ、ごめんごめん。じゃ、着替えてくるね」

 少しだけ笑って、駆け出していった。



 そこから、また何気無い日常が織り込まれていく。

これで、0002話は完結です。


次はかなり時間が飛びますよ!

そして、物語が動き始めます。

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