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そして楽しそうに笑う。
本当にもう大丈夫みたいだ。
ふう、と大きく息がもれる。と、一気に力が抜けてそのままベッドにぱたりと倒れてしまった。
知らず、ポプリを抱く手に力がこもる。
「エル、ねむいの?」
「眠くないよ」
「おなかは?」
「空いてないよ」
「きもちは?」
「悪くないよ。でも、少し疲れたかな」
そんな言葉が自然と口から転び出る。
胸がじんわりと温かいのはポプリが乗っているせいだろうかと、明るくなった天井をぼんやり眺めながらそんなことを思った。
ポプリがヘビに襲われた理由を知ったのは、翌日のこと。
「こんな近くにあったのね」
それはヒバリの巣だった。バラの茂みの向こう側、地面を丸くくり抜いて草を敷きつめたその中に、大きくなったヒナが三羽身を寄せ合っていた。話によると、へビはこのヒナを狙っていたらしく、守ろうとした結果襲われてしまったらしい。
「いつから気づいてたの?」
「ちょっとまえ」
しゃぼん玉で遊ぶ傍ら、ヒナの様子も観察していたのだとか。
「近くで見たらダメって怒られたから」
「怒られたって、誰に?」
「ヒバリに」
それでバラの陰からそっと眺めていたそうだ。決まってバラの前で遊んでいたのは、においの他にそういう理由もあったのだとか。
でも、ヒバリに怒られたって。
そういえば以前に空を飛ぶ理由を聞くといっていたような。
そのことを訊ねると。
「……ないしょだって」
少しだけ楽しそうな声で、ポプリはそう答えた。




