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04

 フォルテスタの降りてきた天の階を使い、神殿へと俺たちは戻った。


「申し訳ありません、急な仕事が舞い込んできたのでハイド様に戻って頂きたく参上致しました。」

「いや、それは良いんだ。フォルテスタが少し焦っているようだったのが気になってな」


 フォルテスタは内心かなり焦っていた。いきなり舞い込んできた仕事が自分にはどうすることもできない件だったからだ。


「それで、詳しくは館の方でいいのか?」

「はい、お願い致します。」


 そんな会話をしながら俺たちはスタスタと館へと向かった。その間のフラールはマジ空気だったのは言わずとも想像できるだろう…。


 執務室の扉をガチャリと開けると、其処にはちょっと前に処理した書類の比ではない程の量があった。

 流石にこの量にはため息しか出ない。察してほしい、こっちは少し前まで普通の高校生だったのだ。まぁ、バイトで書類を纏めたりとかしていたがそれはそれだ。


「フォルテスタ、これは、凄い量だな…。」

「申し訳ございません!申し訳ございません!」


 物凄い勢いで彼女が頭を下げている。まぁ、不可抗力だししょうがないよな。っても、もともとフラールがやるはずの仕事の筈なんだがな…。当の本人は、ソファーでくつろぎまくっているんだが…。

 何だろう、イラッとするなこれは!。


「すまない、フォルテスタ。君にも手伝って貰うぞ。」

「それは勿論です!」


 そう言って二人で書類の山と格闘をし始めたのだった。


 やはり物凄い勢いで捌いていくハイド様。その様子を私はチラチラと見ながら自分に振られている仕事を処理していた。

 嗚呼、この方が主だったらどんなに楽しいか!。現実はコレですからね…。

 そう思ってジト目でフラール様を見やる…。しかもソファーで寛いでるし!。そんな時に声をかけられた。


「どうした、フォルテスタ?。作業効率が落ちてるみたいだぞ?。何か気になることでもあったか?」

「あ、その…。」


 私が言い淀むと、彼は手を止め「少し休憩にするか」と席を立った。なんと、彼が自らお茶を淹れ始めたのだ。女神代行的な位置にいるので、私よりは確実に上なんですけど…。

 慌てて立ち上がり「私が淹れます!」と言うと彼は「いいよいいよ、俺が淹れるから少し休んでな」と言ってソファーに座らされました。ちょっと強引ですが、私を気遣ってくれているのが分かるので物凄く嬉しいです。


 彼がお茶を淹れ終えると、私の正面のソファーに座り優しげな笑みを浮かべながらお茶を飲み始めました。

 私も一口飲み、何時も淹れるものより凄く美味しく感じました。


「美味しい…。」

「それは良かった。慣れないことをしたから少々不安だったんだよ」


 慣れない事って、物凄く手際良かったですけど?。私が習いたいくらいですからね!。そんな事を思っていると、彼がこう言いました。


「それで、何か考え事してるようだったけど?」

「ああ、それは…。」


 視線を泳がせて、チラチラフラール様を見た。それで彼はなるほど、と納得した様だった。それで分かるんですか!?。


「フラールに関して何だろう?。大方、あいつじゃなくて俺の方が主だったらなって感じか?」


 図星です!。まぁ、分かりますよね…。ですが、アレですよ?。今現在ソファーでぐうたらしてるのが仕える主って悲しくなりますからね!。


「そんな顔してやるなよ、アレは気にしたら負けだ。それに、俺がいる内はこうして仕事するから、な?」

「問題はそこなんです!。ハイド様が居なくなられたら、私たちは死んでしまいます!」


 ハイド様は「そんな大袈裟な…。」と仰いましたが、事実過労で倒れた者がいますからね。あの駄女神の所為で!。所謂レイプ目になったのが自分でも分かる。いや、だって、ホントにあの日々は嫌なんですよぅ!。


「女神の仕事はこれだけじゃない筈だしな、他に何があったんだ?」

「そうですね、主な仕事は火山地帯の管理と、あとは、その…」


 言い辛いです、あんな駄女神が愛を司っているなんて…。結婚する人たちが可哀想になるくらいです!。


「ふむ、焔愛と言うくらいだから、結婚式とかか?。それだったらマジで気の毒になりそうだぞ、俺は。」

「でしたら!ハイド様が!アレに変わって下さい!!」

「と言われてもな…。どうにかできるものならしてやりたいが…。」

「大丈夫です!他の女神様の同意を得られればイケます!!」


 ついつい力んでしまいましたが、本気なんですよ、必死なんですよ!!。


「とはいえ、俺は男だしな…。」

「其処も大丈夫です!。あの駄女神と融合した時点で性別は任意で好きな時に変えられますよ!。良かったですね!」

「……、マジか。…マジか。」


 少々ハイド様が遠い目をしておられますが、こっちもガチなんですよ。この機を逃せません!。アレは隠居して貰いましょう!うん、それが良いですね!。


「って事は、女神の仕事をする時は女でいた方がいいって事か…。マジかぁ〜。」

「私も是非、是非拝見したいですよ。ハイド様の女性姿!」


 期待しますよ?。だって、男性の状態でこのイケメンっぷりですよ?最早激アツじゃないですか?。

 そんなこんなでハイド様は指を何もないところでトントンしてらっしゃいます。恐らく、私たちには見えない何かを操作してらっしゃるのでしょう。指が止まり、脱力したかと思えば一瞬の眩い光の後見た目が様変わりしていました。

 ぐへへ、予想通りの美女っぷりです!よだれが止まりませんね!。黒と白の髪が特徴的ですし、長さも女性らしくお尻くらいまで有りました。てか、おっぱいは私より大きくないですか?。ちょっと揉ませてくれないでしょうかね?。それにしても、クール系の美女でスタイル抜群なんて!?。ヤバ、これは乗り換え必至ですね!。仕事は出来て、尚且つ男性の時は超イケメンで女性の時は超美女って!?。


「…、フォルテスタ、よだれ…。」

「ハッ!?。ズズズ」


 失敬、失敬。


「さぁ、ハイド様!。他の女神様の神殿に参りましょう!」

「その前にやる事やってからじゃないと行かないぞ?」


 チッ!主変更のチャンスが!?。

 そんなやり取りをした後、ハイド様はそのまま仕事に戻ってしまわれました。私としては、どちらにしろ眼福なので良しとしますが!。


 俺はフォルテスタとの会話のあと改めてステータスを確認した。


名前:【ハイド】Lv.650

種族:【神族】

職業:【双焔乃神】

称号:【焔愛の女神】(全ステータス大UP、性別消失)


HP:3940/3940

MP:4680/4680

STR:3420

VIT:2900

DEX:3870

INT:4110

MDF:3560

AGI:4290

LUK:99


 改めて見るとこのステ、馬鹿げてる気がするが気にしたら負けだな。そして見つけてしまう、称号の、以前伏せられていた部分だ。


性 別 消 失


 はぁ、マジか…。いやまぁ、職業とか種族とかさ、最早人を捨ててるわけじゃん?。でもだからって両性類とかマジっすかって感じだよ。

 てかフォルテスタの目が怖えよ!?。なんかよだれまで出てるし…。ズズズって吸ってるけど、吸えてねぇよ!?。

 まぁ、何にせよこの書類整理が終わったら他の女神に会いに行くとしよう。どうやらフォルテスタが案内してくれそうだしな。


 結論から言おう。一日じゃ終わんねぇよ!?。書類整理と後から追加されていった仕事を処理しきるまでに一週間かかってしまった。

 更に、フォルテスタが女神研修と称して言葉遣いや所作の特訓をよだれを垂らしながらピンク色の気配を纏って詰め寄ってきたので更に一週間みっちりと。合計で半月程仕事に追われつつフォルテスタの相手をしていたのだった。


 そして現在、ティータイムである。


「フォルテスタ、これから他の女神に会おうと思うんだがどうだろう?」

「えー、そのお姿で行くのですかぁ?」


 すこぶる不満そうである。どうも彼女は可愛い子や綺麗な子を見ると着飾らせたくなるらしい。俺の場合は殊更酷いんだが…。


「どっちで行っても変わらんだろう?。なら慣れている男の姿で行った方が俺の精神衛生的にも良いからな。」

「むぅ、まぁ、男性の時でもハイド様はイケメンなのでいいですが…。」

「ねぇねぇ、最近貴方たちわたくしの事空気にしてませんか?」


 突然会話に混ざろうとするフラールであるが、フォルテスタがばっさり斬り捨てる。


「…、フラール様、ここ最近何してました?」

「えっと、テレビを見て世界の状況把握して、た?」


 フラールは目を泳がせ、ダラダラと滝の様な汗を流しながら答える。

 まぁ、あの冷めた視線、しかも真顔で言われたらそうなるわな。こっちが忙しい時に近くでぐうたらされたらああもなるわ…。


「まぁまぁ、フォルテスタ。今は他の女神に話を聞きに行きたいからそこら辺でいいだろう?」

「そうは言いますがハイド様!。あの駄女神はニートですよ!?自分の仕事を放棄してソファーで横になりテレビを見ながらぐうたらする輩ですよ!?」

「フォルテスタ!、それ以上本当のことを言うんじゃない!?」


 だが時既に遅し、フラールは心に大ダメージを負って体育座りしていた。自業自得ではあるが、そこは言わない方がいいと思うよ、俺は。


「では、ハイド様。ニートは放っておいて行きましょう」


 フォルテスタは俺の手を引きながら足早に執務室を出たのだった。

お待たせしました。


遅筆なのが痛い。

すいません、書くの遅いんです!。

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