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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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もふもふパニック 8

「「ママ!!ご飯食べたよ!!今度は凄いお月様のばんだよ!!」」

 アルゴス君とマルケス君の要望に応えて、キャロットケーキを切り分ける。

「うわ〜。すっごい綺麗だな〜」

「そうだね〜。真ん丸でもオレンジだったけど、中はもっと綺麗だね〜」

 食べる前から全開の笑顔を見せてくれるちびもふブラザーズだが、綺麗な色の正体がニンジンだとわかった時、怒り出したり泣き出したりしないだろうかと不安になる。ルッツォさんいわく、「ちび達のピーマンとニンジン嫌いは尋常じゃない」そうだから。しかし、ミネストローネやミルクスープにも入れていたが残す事なくお腹に納めていたのは、見た事のない料理だった為か、「あ〜ん」効果かのどちらかだろうか。

「「最初はママが、あ〜んして〜」」

 始祖様と私の膝から飛び降りて、向かい合う形でお座りするちびもふブラザーズは「あ〜ん」と口を開けてまっている。千切れんばかりに振られる尻尾で期待度が分かる。一口づつ切り分けてアルゴス君とマルケス君のお口に入れると、すぐに咀嚼する。

「「美味しい〜」」

 言葉と共に溢れる笑顔に勇気を貰い、子供たちにケーキの説明をする。

「あのね?これはニンジンがたくさん入ってるキャロットケーキって言うの。マルケス君が綺麗だって思った色はニンジンのものなんだよ」

「「ニンジン!?」」

 真ん丸に目を見開くちびもふブラザーズは顔を見合わせてから、言葉も無く口を開けて、「あ〜ん」をしている。再び口に入れると、子供たちはケーキを飲み込んだ後、大きく首を縦に振った。

「「やっぱり美味しい〜」」

「すっごいお月様なら、ニンジンも平気だ」

「うん!!本当にニンジン入ってるの?」

「本当だよ。オレンジのジャムも少し入ってるよ」

 私の膝に前脚をのせて聞く子供達に答えると、「ジャムのせいかな?」「やっぱり、かわいいからだよ」などと額を合わせて相談していた。

「なんだよ〜。アルゴスもマルケスも平気なのかよ〜。ミーナちゃんのキャロットケーキをお前らの分まで食えると思ったのにな〜」

「「ふふ〜。残念でした〜」」

 ちびもふブラザーズは茶化す始祖様を振り返り、悪戯っ子な口調で返した。

「ホントにな〜。で?俺は誰に、あ〜んすりゃ良いんだ?」

「僕〜」

 「順番こ」らしく、マルケス君は始祖様に、アルゴス君は私の膝に飛び乗った。もじもじとしていたマルケス君が口を開いた。

「あのね?スープ、美味しかったけど、飲みづらかったから、僕たちが戻ったら又、作ってくれる?」

「賛成〜!!ミネも美味しかったけど、こっちはほわんってして好きだ」

 トマトの酸味より牛乳のまろやかさが気に入ったらしいちびもふブラザーズに「もちろん」と言うと、笑顔で頷いてくれた。

 食後、皆で青空の下でお昼寝して、ちびもふブラザーズのマイブームの集合をした。

「目標!!じ〜じ!!みんな集まれ〜!!」

「「「「お〜!!」」」」

 始祖様を目標にすると、物凄く体力を使う。何せ始祖様は逃げる。全力で逃げる、逃げまくる。

 少し止まってある程度、距離が縮むと、再び走りだしたり、かと思うと自分から距離をつめて向かってきたり、やっと捕まえたと思うとじりじり動いていたりする。

 それでも、子供たちの体力と精神力のぎりぎりの所を見極めて最終的には大人しく皆を待つあたり、色んな意味で感心してしまう。

 そんな具合に、一日中、走り回って遊んだちびもふブラザーズは、晩餐を終えてベッドに倒れ込むように入るとそのまま朝までぐっすりと眠っていた。

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