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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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もふもふパニック 6

 用意してもらったシートの上に、ひとつひとつメニューを説明しながら並べていく。

「サンドイッチはパンに色んな具を挟んだ食べ物で、これは茹でた卵を油と卵と酢と塩で作ったマヨネーズソースで和えた物、こっちは茹でたお魚をマヨネーズで和えた物、これがお野菜を挟んだものだよ」

「野菜、か〜。でも、ママのお料理、野菜でも旨いもんな〜」

「コロンコロンして可愛いね〜」

 こちらのパンはバゲット風な生地もバターロール風な生地も食パン風な生地も成形は全て丸だ。パンの成形には携わらなかった為、サンドイッチは半円形で、コンビニなどで見慣れた平べったいタイプでは無いがマルケス君には「可愛い」と大好評なのが嬉しい。もっとも、アルゴス君は野菜の部分にひっかかっているようで、マルケス君に「可愛いからこれも絶対美味しいよ!!」と言われて複雑そうに頷いていた。

 実は昨日、クリームコロッケやミネストローネを作った時に今日のお昼の計画を打ち明けて相談し、一番手間取りそうなマヨネーズとケーキを前持って作成していた。マヨネーズソースに対するルッツォさんとジルさんの食いつきは凄まじく、「いますぐ使いたい」との二人を「今日のお昼までは内緒で」を押し通すのは中々苦労した。

「スープはキャベツとニンジンと玉葱とお肉をちっちゃく切って、牛乳で煮込んだミルクスープ」

 保温魔法をかけてあるという陶器の瓶に入れて持って来たので、あっつあつのはずだ。そして、ケーキをバスケットから取り出す。

「デザートはこれ」

 「じゃじゃ〜ん」と声に出しながら、切り分け前のホールケーキを見せるとちびもふブラザーズは飛び上がって喜んでくれる。

「やった〜!!すっごいお月様だ〜!!」

「すごいすご〜い!!なんでこんなにおっきいの〜?」

 きらっきらの笑顔の二人に答える。子供達に水を注すまいと思っているのか、始祖様は笑顔のままで口をつぐんでいる。

「これはね?ケーキって言って、卵と砂糖と粉を混ぜてから、型に入れて皆の分を一気に焼いちゃうの。だから、一人で一個じゃなくて切り分けて皆で食べるんだよ」

「「お〜」」

 感嘆の声を上げた子供達はコクコクと激しく首を縦に振った。

「切るとお月様じゃなくなるな」

「でも、すっごい綺麗なオレンジ〜。可愛いね〜」

 マルケス君はさすが鋭いな〜。

 実はこれは人参(にんじん)をたっぷり入れたキャロットケーキ。だから、人参の色で鮮やかなオレンジをしているのだ。癖を消す為、砂糖の量を減らし、マーマレードを加えている。

「うふふ。じゃあ、順番に食べてみよ?」

「「はい!!」」

「いや、すげぇな。こんなに沢山、大変だったろ?」

「ソースとケーキは前日に作り置きしていましたから思う程ではありませ……ケーキは一番最後!!」

 文字通り、ぴょんと飛び上がった毛玉ちゃん達は、ささっと始祖様の背中に隠れて頭だけを出した。

「違うぞ!?くんくんしただけだ」

「そうだよ!!このまんまでどうやって食べようか思っただけで、ちょびっとかじりたいな〜とか思ってないよ?」

「そう!!つまみ食いなんて考えてないぞ」

 慌てながら告白している子供達に微笑む。

「慌てなくてもアルゴス君とマルケス君が獣還りの最中は、お話を聞く時やご飯の時は抱っこしてあげるよ?」

「お膝で?」

「あ〜んしてくれる?」

「もちろん!!」

「「良いかも〜」」

 顔を見合わせた毛玉ちゃん達は目を細めてくふふと笑っている。

「「ママ!!抱っこ〜」」

 尻尾を千切れんばかりに振って駆けてくる子供達をきゅっと抱きしめ、便乗して被さってきた始祖様の鼻はきゅっと摘んでおいた。

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