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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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もふもふパニック 5

「なわけあるか。良いか?大人は明日に備えて忙しいんだぞ?ミーナちゃんはともかく、ちびもふの警護してる暇なんかねーの!!わかったら……」

「「ちびもふ!!」」

 始祖様の言葉を遮った子供たちの瞳はきらっきらに輝いている。子供たちのステキワードがあったらしいが、叫んだそれなら、何故お気に召したのかが分からない。

「ちびもふって俺達の事か!?」

「ね〜ね〜、じ〜じ、僕達の事でふか?」

 「ちびもふ」!?やっぱり、まさかのそれが二人のステキワードなの!?そして、でふ復活!?

 アルゴス君とマルケス君は、始祖様の大腿(だいたい)前脚(まえあし)をかけて、揺すっている。

「お前らしかいねぇだろ」

 若干、疲れたように言う始祖様を尻目に、子供たちのテンションはものすごく高い。

「ちびもふのアルゴスでふ」

「ちびもふのマルケスでふ」

「「二人あわせて、ちびもふブラザーズでふ!!」」

 大きく胸を張り、えっへんしている毛玉ちゃん達は凶悪的な可愛さです。

 いっそ、二人あわせてアイドルユニットとして売り出しなさい!!そしたら、ファンクラブ会長やるし!!二人の可愛さを全世界に発信よ〜!! いや、でも、ちびもふブラザーズの可愛さにとち狂った人間が誘拐したり、手の届かない二人に、可愛さ余って憎さ百倍とばかりに危害をくわえてくる可能性もあるよね。って!!反省したでしょ!?水無月(みなづき)(かえで)!!落ち着きなさい!!

 興奮を静める為に、大きく深呼吸を二回する。

「ちびもふブラザーズさん、お庭でみんなで遊びませんか?」

 だが、落ち着いたつもりの私の口から出たのは陳腐(ちんぷ)なナンパ男のような台詞だった。

「「わ〜。賛成〜!!でふ!!」」

「うん。良いな。それ」

 唯一の救いは、子供達も始祖様も快諾してくれた事だった。




                  □■□■□■□■□■□




「「ママ、ご用事終わった〜?」」

 手入れはされているが、草原に近い中庭で始祖様と遊んでいた子供達が声をかけてきた。

「ごめんね?もう終わったよ〜」

 私の言葉に頷いたアルゴス君が、声を上げた。

「目標、ママ!!全員、集まれ!!」

「「「お〜!!」」」

 アルゴス君とマルケス君に付き合ってか、獣姿の始祖様も声を上げ、ちびもふブラザーズと大きな毛玉さんが弾丸のように駆けてくる。二つのバスケットを下ろし、子供達へ両手を広げる。

「「ママ〜!!」」

 ぽんっと勢いをつけて跳んできた二人をもふもふぐりぐりしていると、便乗した始祖様にベロリと頬を舐められた。

「「じ〜じ!!味見禁止!!」」

 声を揃えたちびもふブラザーズに、どこで覚えた言葉なの?とか、味見ってなに〜!?とか聞きたいが問えば自分が要らぬ事まで口走りそうで我慢する。

「お?すまんすまん。あんまりミーナちゃんが良い匂いすっからさ〜」

 始祖様の言葉に、ちびもふブラザーズのくんくんタイムが始まった。ひとしきり嗅いで満足したのか、アルゴス君とマルケス君は私を見上げながら聞いてくる。

「ママからなんか美味しい匂いする」

「うん。なんで〜?ご用事に関係ある?」

 始祖様には巧妙にごまかされた気がしないでもないが、知らぬふりで子供達に持ってきたバスケットを掲げ見せる。

「じゃ〜ん!!なんと、今日はお外で青空ご飯しちゃいます」

「「わ〜。良いの〜?」」

 笑顔で真ん丸お目々になる子供達に、こちらも笑顔で返す。

「ディーバさんにも許可貰ったから大丈夫!!」

「「やった〜!!青空ごは〜ん」」

 よほど嬉しかったのか、ちびもふブラザーズはそのまましばらく駆け回っていた。

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