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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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意見交換と晩餐 7

「「ママ?」」

 つらつらと思い出していると、心配そうな毛玉ちゃん達に声をかけられた。何か思う所があったのか、セインさんがおじさんを肘で(つつ)いて促した。

「お?お、そうだな? 実は、野菜を使った何かも無いかと思ってた所で、こいつにお姉ちゃんの事を聞いたら、どうにもこう気が急いちまって、そんでこんな時間に押しかけちまったんだ」

「野菜ですか?」

 野菜と聞いた子供達は「うへ〜」と小さく零して顔をしかめると、おじさんが面白そうに声をかける。

「坊主達は野菜は嫌いか?」

「「あんまり〜」」

「そうか。ガキの頃は野菜が嫌いな奴は多いしな」

 ちょっぴり残念そうながらも、おじさんは豪快に笑った。

「あ!!でも、ママのこおっけは美味しかった!!」

「うん!!野菜いっぱいでもコロッケとミネストローネは食べれる〜」

「そうだな。みえは美味しかった」

 アルゴス君は「ミネストローネ」と言えずに略してしまったのが悔しいのか、軽く眉間に(しわ)を寄せている。そんな子供達を尻目にディーバさんは誰かと携帯用の鏡で話をすると、すぐに仕舞った。

「へぇ。コロッケとミネストローネってのは……」

「父さん!!脱線禁止!!」

 子供達に聞き返そうとしたおじさんに、とうとうセインさんの雷が落ちた。その剣幕は毛玉ちゃん達がお尻でピョンとジャンプする程だ。

「夜分に押しかけるだけでも非常識なのに、相手は女性だよ!?子供には夜更かしは厳禁だろ!?」

「そうは言うが……」

 言いかけるおじさんに、キッと鋭い視線を飛ばしてセインさんは続ける。

「なんなのさ!?少し位なら良いだろとか、まだまだ夜中じゃないとか、知的好奇心の前でとか言いたいわけ!?そんなの理由になんないよ!!」

 あ、なんか、良い人なんだな〜。セインさん。

 叱っている当人と叱られているおじさんに悪いし、万が一にも考えている事を知られたら一緒に説教されるだろうが、彼等の人柄が良く見えて面白い。私達を思って叱ってくれているセインさんは良くも悪くも常識的で真っすぐな人、対する父親のおじさんは思い立ったが吉日な猪突猛進的で、でも義理人情には弱そうだ。知り合って間もない為に、まだ断言出来る程ではないが、この親子は信頼しても裏切られる事は無いように思う。

 最初は驚いていた毛玉ちゃん達も、「俺達に関係ないなら楽しんじゃお」とでも思っているのか、どこかワクワクした感じで親子を見つめていた。

「本来なら日中だろ!?とっとと用件を話して帰れ!!」

 セインが扉を指した瞬間、ノックも無しにバーンと開かれた。思わず、毛玉ちゃん達を抱っこしたまま、お尻ジャンプしてしまう。これには、セインさんもおじさんも驚いたのか、目も口も丸くしている。だが、ディーバさんだけが澄ましていた。

「ミネストローネとコロッケ、お待たせ〜」

 芝居がかった口調でワゴンを押して入って来たのはルッツォさんだった。

 先程の短い通話の相手はルッツォさんで、だからこそディーバさんは澄ましていられるのだろう。とは言え、料理長をほいほい呼び出して良いのだろうか?何か、彼でなくてはならない理由があるのだろうか?

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