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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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意見交換と晩餐 1

 ディーバさんが退席した事で、お開きとなり、各々自由に過ごし、今、晩餐の席についていた。メンバーは始祖様、王様、ディーバさん、ソルゴスさん、エリゴスさん、アルゴス君、マルケス君、私、だ。

「「あれ!?」」

 コロッケを一口食べた子供達は目を丸くして私を振り仰いだ。

「どうした?」

 子供達の大声に王様が首を傾げた。

「俺達が味見したコロッケと違うんだ!!」

「そうなの!!こんなにとろ〜んじゃなかったの!!ね!!エリゴス!!」

「はい。確かに」

 エリゴスさんの返事に力を得たようで「なんだ?どうした?」とばかりに見つめてくる子供達に種明かしする。

「あのね?これは、アルゴス君とマルケス君がお昼寝している間にルッツォさんにお願いして作らせてもらったの」

「「そうなの!?」」

 叫んだ子供達は真ん丸お目々がこぼれ落ちそうだ。

「今、アルゴス君とマルケス君が食べた丸太みたいなのが、小麦粉とバターと牛乳で作ったクリームに具材を混ぜて作る、クリームコロッケだよ。平べったいのは味見してもらった、ポテトコロッケ」

 そう。できるだけ野菜も食べてもらおうと、クリームコロッケにはキノコと海老を入れ、スープも細かく刻んだ根菜たっぷりのミネストローネにしている。

「「お〜」」

 感嘆の声を上げた子供達は私とコロッケに視線を行ったり来たりさせている。

「こおっけ、いろんなのあるんだな!!」

「すご〜い!!まだ、僕達が食べてないコロッケあるの?」

「まだあるね。全部一度じゃなくて、少しづつ作っていくからね?」

「「毎日!?」」

 キラキラ期待に満ちた眼差しを遮るのはつらいが体調を崩して苦しませるよりは遥かにマシだ。

「飽きちゃうし、毎日、油たっぷりの食事だと具合悪くなっちゃうよ」

「「縮む!?」」

 反射的に自分達の頭を手で隠した子供達に、事情を聞いた始祖様が爆笑しながら言う。

「縮むだけか〜?」

「「ぇ!?」」

 子供達は小さく声を漏らし、不安げに私を見てきた。

「大丈夫。そうならないようにルッツォさん達や厨房のお兄さん達が頑張ってるから」

「「よかったぁ」」

 心底からの言葉らしく、子供達は肩の力を抜いて、「ほわぁ〜」とため息をついた。

「冷めない内に召し上がれ」

「「はいっ!!」」

 まったく!!始祖様は面白がりすぎる!!

 一言申してやろうとしていると、先にディーバさんが口を開いた。

「始祖様。貴方がお気に召しておかわりまでなさったスープも、ジャムもミーナ様がお作りになられたものです」

「ん?知ってるよ?」

 始祖様はディーバさんの言葉に、「何を当然な」とでもいった感じできょとんとしていた。

「ですが、アルゴス様とマルケス様に対してあまりにも目に余る為、以降の食事はミーナ様考案メニューは無しにします」

「「「え!?」」」

 意外にも始祖様と子供達の声が重なった。

「美味しいのはみんなで食べなきゃ!!」

「そうだよ!!じ〜じが可哀相だよ!! あ!!じ〜じ!!ディーバにごめんなさいしよ?」

「そうだな!! じ〜じ!!俺達とごめんなさいしよ!!な!?」

 必死に訴える子供達に始祖様がふっと息を吐き、困ったような、でも、嬉しいような、そんななんとも言い難い笑顔を浮かべた。

「アルゴス、マルケス、意地悪言ってごめんな?」

「俺達じゃないだろ!?エリゴス!!エリゴスにごめんなさい、だろ!?」

「そうだよ!!じ〜じ!!間違えちゃダメ!!」

 間髪入れずに言った子供達は、自分達の預かりしれない所で始祖様が叱られたと思っているらしい。

「「せ〜のっ!!「ごめんなさい」」」

 アルゴス君とマルケス君の音頭に乗って始祖様が声を合わせて頭を下げた。

「わかりました。アルゴス様とマルケス様に免じます」

 苦笑を浮かべたディーバさんを見た子供達に、「免じますってなんだ?」と聞かれて、「アルゴス君とマルケス君が一緒に謝ったから許してあげるんだって」と答えると、それはそれは良い顔で笑っていた。

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