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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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国の名前と取り巻く環境 8 

「私はオーシャンの使者殿と何を話せばよいのでしょうか?例えば貿易とか国の友好とか」

「はい。今回だけでなくミーナ様には懸け橋として活躍して頂きたいと思うのですが、いかがでしょうか?」

 あらら、ほんとに丸投げだ〜。

 信頼と期待に溢れるキラキラとした瞳を男性陣から向けられて内心、苦笑してしまう。エリゴスさんも始祖様も異義などないとばかりに頷いているしで、どう返そうかと考える。

「摩擦などはないのですよね?各国の特産物や特産品などありましたら御教授お願いします」

「はい。フォレストは農作物、酪農に、オーシャンは海産物、塩に、ヴォルケーノは鉱物、宝石類に力を入れております」

 フォレストは農業、オーシャンは漁業、ヴォルケーノは鉱業が盛んと見て良いようだ。しかし、幼い頃に登山家の叔父から聞いた話は当時は私を楽しませるだけの物だと思っていたが、真実を子供だからと軽んじる事無く教えてくれたのだとしみじみ感謝する。「眠っていても起きていても火山には綺麗な宝石や鉄や石炭があるんだよ。だから、日本では少ないが、世界の国々では鉱山が宝の山と見られているんだよ?」と身振り手振り交えて語ってくれた姿が今も鮮明に脳裏に蘇る。

「交易されているようですが、通貨は共通ですか?それとも、金や銀を使ったり物々交換をされていたりするのでしょうか?」

「はい。大きく分けて、金貨、銀貨、銅貨が三国共通で使われてます。同国の民の間では物々交換もありますが、他国との取引では通貨のみですね」

「ありがとうございます」

 質問に答えてくれたディーバさんに御礼を言うと微笑みで返してくれた。

「金貨も銀貨も銅貨もちっこいのと、ちゅーくらいのと、でっかいのがあるんだ!!」

「どれも綺麗な絵がついてるんだよ〜。ママも見せて貰えば良いよ〜」

 ニコニコしながら細かい所を教えてくれた子供達の頭を優しく撫でる。

「アルゴス君、マルケス君、教えてくれてありがとうね。 後で私に通貨の価値やこの世界での物の価値を教えて頂けますか?」

 ただのお喋りならつゆしらず、外交となったらあらゆる物の価値、基準などを熟知していないと足元を見られ、ナメラレる。そんな事が起こらないように前以て勉強しておかなければならない。

「はい。勿論です。早速、明日にでも!!」

 勢い込むディーバさんに笑顔で頷いて返す。

「使者殿との会談は臨機応変としてよろしいでしょうか?」

「はい。もちろんです!!よろしくお願いします!!」

「ミーナの手腕がどれほどのものか確認してやる」

 ホッとしたように王様とディーバさんが頷いてくれると、一息にエリゴスさんが言ってそっぽを向いた。

「エリゴスはいくつになっても素直じゃねぇなぁ」

「ねぇなぁ」

「ないなぁ」

 「いししし」と奇妙な笑い声を上げる始祖様の言葉尻を捕らえた子供達が続いてしまう。大人には向かっていけてもアルゴス君とマルケス君には言えないと我慢しているのか、エリゴスさんの肩がふるふると微妙に震えている。

 いつ使者殿か来るのかも分かっていない上に期待と言う名の思考の丸投げをされた今、始祖様のお遊びに付き合っている暇は無い。期待されて嬉しい気持ちと、首脳陣がそれで良いのかというしょっぱい気持ちが混同しているが、どちらかと言うと戦闘前の高揚感が強い。

「オーシャンの使者殿は、いついらっしゃるのでしょうか?」

「もう使者団はオーシャンを発っていますので三日後です。ちなみに、フォレストまでオーシャンは馬で五日、竜で四日、ヴォルケーノは馬で七日、竜で六日の距離となります」

 三日。その短時間にこちらの常識を叩き込まなければならない。

 アルゴス君とマルケス君は勿論、皆が私の振る舞いで恥ずかしくならないように頑張るぞ〜!!

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