表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
64/184

国の名前と取り巻く環境 3

「始祖様?ミーナ様恋しさだけにいらっしゃったのですか?」

 能面のような無表情でディーバさんが問う。おそらくあれは、他人に内情を読ませない為だろう。

「そんなわけな〜いじゃ〜ん」

 隣に座るアルゴス君の頭をぺしぺしと軽く叩きながら答える始祖様に、ディーバさんは漫画の描写のように顔に青筋をたてた。それはそうだろう。真面目に聞いているのに茶化して返されれば面白いはずがない。

「始祖様!!」

 エリゴスさんが若干ヒステリックに叫ぶ。さすが直情の人だなぁと斜め上の事を思っていると、始祖様に呼ばれた。

「ミーナちゃん」

「はい」

「ミーナちゃんに帰る意志は無いんだな?」

「はい」

 打って変わった真剣な始祖様の声音に、私も静かに答える。

「アルゴスやマルケスはともかくとして、お前ら王族もミーナちゃんが永住する事を認めたのか?」

「「「「はい」」」」

 王様もディーバさんもソルゴスさんも、なんとエリゴスさんも静かに、だが、きっぱりと頷いた。

「なら、完全にフォレストとミーナちゃんは結ばれたな」

 小さく頷いた始祖様の顔には優しい笑みが浮かんでいた。王様達もほっとしたような柔らかい雰囲気になっている。

 私と結ばれたフォレスト(もり)さんってだれ?と思ってしまったそれが口から零れた。

「フォレストさんとはどなたでしょうか?」

 私の言葉に皆がキョトンとした顔を見せた。思わず小首を傾げると、けたたましい程の始祖様の笑い声と申し訳なさそうな王様の声が重なった。

「どなたって!! ぶひゃひゃひゃ マジ!? ミーナちゃん、マジか〜!?」

「すまん。ミーナ、すっかり説明したと思いこんでいた」

 始祖様の爆笑具合から、フォレストは文字通りの意味なのだろうかと考えていた私の膝にアルゴス君が飛び乗ってきた。

「「フォレストは、ここだよ!!」」

「え?」

「この国の名前です。この世界は大きく三国で統治していて、それぞれ、母と戴く物の名前を使っております。フォレスト、ヴォルケーノ、オーシャンとなっております」

 戸惑いの声を上げた私にディーバさんが補足説明してくれた。

「王族が生まれてくる場所を国名にしているのでしょうか?」

「はい。その通りです」

 その通り!?オーシャンは海で、ヴォルケーノって火山でしょ!?溺れたり、丸焦げなんてないの!?いや、国として成り立ってんだから大丈夫なのか?

 一人でパニックに陥っていると、アルゴス君が頬に手を伸ばして優しく撫でてくれる。

「ありがとう」

「ぇへへ!!どういたしまして!!ママのお膝抱っこ、ありがとうだから!!」

 アルゴス君は嬉しそうに笑っているが、争奪戦を繰り広げてきたマルケス君は平気なのだろうかと聞いてみる。

「マルケス君はお膝抱っこは良いの?」

「はいっ!!前は僕がお膝抱っこしてもらったから良いの〜。順番こするから、ママはムキムキにならないでね?」

 ちょっぴり不安そうに答えてくれるマルケス君に頷いていると、事情を聞いたらしい始祖様が再び爆笑し始めた。そんな始祖様をサラリと流したディーバさんが私の疑問を先回って答えてくれる。

ヴォルケーノ(かざん)では王族はマグマの中に入っても平気ですし、同様にオーシャン(うみ)でも王族は溺れる事はありません」

「説明、ありがとうございます」

 礼を言った私にディーバさんは微笑んでくれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=418023835&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ