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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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国の名前と取り巻く環境 2

 色々とすっきりしてから迎えた晩餐席には、誰が用意してくれたのかはわからないが、一人掛けではない、大人が余裕で三人は座れる、私と子供達の為だろう長椅子があった。

「俺達の!!」

「ママとぴったんこ出来るね〜」

 嬉しそうに笑う子供達とともに着席する。出席しているのは、王様、ディーバさん、ソルゴスさん、エリゴスさんとアルゴス君、マルケス君、私、だ。ずらりと並んだ主要陣、とは言っても出会った時からほぼ変わらずこの顔触れで食事をしているのだが、私の活用法について話してくれるのだろうと見当を付けていると、王様が悪戯っぽい光を瞳に宿して口を開いた。

「アルゴス、マルケス、ミーナに格好良い所は見せられたのか?」

 あれ?違うの?と肩透かしを喰らった気分でいると間髪入れずにアルゴス君とマルケス君が答えた。

「俺達は無理だったけど、皆は凄かった!!」

「うん!!とっても格好良かった〜!!」

 優しく目を細めた王様に気を良くしたのか、「こうやるんだよ」と立ち上がりかけたアルゴス君とマルケス君を引き止める。

「お食事が終わってからでないとお行儀悪いよ?」

「え〜!?」

「今教えた〜い!!」

 ご不満の子供達と視線をあわせる。

「ご飯やお話の最中に席を立ってはいけません。 アルゴス君もマルケス君も想像してみて?すっごく楽しくご飯を食べてる時に一緒に居る人がいなくなっちゃったらどう思う?」

「嫌かも」

「しょんぼりする」

 言葉通りにアルゴス君とマルケス君は少ししゅんとしている。

「でもでもっ!!俺達は居なくならないぞ?」

「教えるだけだよ?」

 「それでもダメなの?」と目で訴えてくる二人に小さく頷いて見せる。

「これはマナーと言う名前の、素敵な大人になるためのお勉強なの。 それに、楽しい事や素敵な事は、何かをしながらよりも、それだけを見たり聞いたりした方が嬉しいと思うんだけどな〜」

「そうだな。食後にアルゴスとマルケスのカッコイイ姿を見せてくれるか?」

「「はいっ!!」」

 私の説得に渋い顔を見せていた子供達も王様の言葉に大きく頷いた。

 あ〜。二人とも、カッコイイに頷いたな〜?

 思わず苦笑いを浮かべていると、けたたましい音を発てて扉が開いた。前にもこのシチュエーションがあったなと視線を向けるとやはりと言うかなんと言うか狼姿の始祖様が居た。

「来ちゃった」

「「じ〜じ!!」」

 語尾にハートマークでもついてそうなアイタタタな発言をする始祖様の登場に子供達も目をまん丸くしている。椅子に立ち上がったり、席を外さないのはたった今、マナー違反だよと教えたからだろうか。

「よ〜う。あんまり遅ぇから来てやったぜ〜」

「喚んでませんよ?」

 王様が痛むのだろうこめかみを指で揉みながら始祖様に声をかける。

「呼ばれてねーから来たんじゃねーか。ミーナちゃんも決心着いたみてーなのにいつまで経っても来ね〜しさ〜」

「始祖様、よろしければこちらへどうぞ」

 ディーバさんの言葉に素早く人の姿になった始祖様は子供のように唇を尖らせる。

「なんだよ。ミーナちゃんの隣じゃね〜のかよ」

「ママの隣は俺達なの!!」

「そうだよ!!それに後から来たんだからもうダメなの!!」

 ぴったりと私にくっついた子供達は始祖様を威嚇している。

「じゃ、ミーナちゃんと一緒にアルゴスとマルケスより早く座れば良いんだな?」

「ん?良い、のか?」

「わかんない」

 ニヤニヤ笑って言質を取ろうとする始祖様に子供達は困惑の表情をしている。

「例え、始祖様にエスコートされても、私が共に座るのはアルゴス君とマルケス君だけです」

「「やった〜!!」」

 私の発言に子供達は嬉しそうにしている。ニッコリと微笑んでやると、始祖様は自分自身を抱きしめながら言った。

「おっかね〜ぃ」

 貴方にだけです。とは言わなかった。

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