武術訓練のお時間 5
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背中に定規でも入れているのではないかと疑うほどにピンと背筋がのばされ、上げる手先足先までもビシッと力が入った綺麗な行進は、私語や目配せなどなく、一人、また一人と数が続々と増えていく。なのに乱れは一切無い。普段から訓練してるからこその成果であろうと容易に判断できるそれは、理屈無しで見惚れてしまう。
「俺達もしたい!!」
「うん!!やりたい!!」
気持ちは分かるっ!!
興奮に頬を赤く染めた今にも飛び出して行きそうな子供達を引き止め、私はその場で足踏みする。邪魔しちゃうからダメだよと言う事は簡単だが、それだと子供達のやる気の芽を摘んでしまいかねない。
「ソルゴスさんが目標で、私達はもう隣に居るんだから、こうやって待ってない?」
「「はい!!」」
瞳をキラキラと輝かせたアルゴス君とマルケス君は元気にその場で足踏みを始める。
ソルゴスさんを目標とした彼等はグラウンドを一周して、一糸乱れぬ整然とした行進を終えると私たちの前に整列してくれた。
「ミーナ様っ!!我々、騎士、兵士一同、以降お見知りおきをお願いします!!」
「よろしくお願いしますっ!!」
音頭をとった男性が敬礼すると、兵士さん達も倣うようにビシッと決めた。
「「カ〜ッコイイ〜!!」」
アルゴス君とマルケス君は彼等の真似をして敬礼している。ふとソルゴスさんを伺うと、苦虫を噛み潰したようなと言う形容詞が見事に嵌まる、渋い表情をしていた。
「セイン」
「はっ!!お気持ちは判りますが、我々からミーナ様への歓迎の気持ちを表したかったのです!!」
セインと呼ばれたのは音頭をとった青年だった。体格はガッシリしているが背丈は私と目線があまり変わらない事から、男性にしては低めに入る165cmくらいだろう。ずんぐりむっくりしている彼は何故か、ハムスターやリスなどの小動物を彷彿とさせる。
「セイン。真意は?」
「ミーナ様、私はソルゴス様直属隊で副長を務めておりますセインと申します。彼女募集中です!!」
「「こら〜っ!!」」
顔を真っ赤にしながらも爽やかに笑って答えたセインさんの発言を聞いて、それまで機嫌良く真似っこをしていたアルゴス君とマルケス君が立ち向かっていったのは、もうお約束な出来事なのだろう。
セインさんが私の気をひきたくてやったのだとしたら、巻き込まれた方々に申し訳なさすぎる。
と言うか、感動を返せ!!そして、巻き込んだ方々に謝れ!!
「セイン。全員に謝っておけ。皆を私情で振り回したお前は、ミーナに接近禁止だ」
私達の気持ちを代弁したようなソルゴスさんの宣告にこの世の終わりのような表情になるセインさんをそのままに、彼は皆に声をあげた。
「以上、解散!!」
「はいっ!!」
返事をして各自移動しようとしている皆さんに待ったを掛ける。
「皆さん、とても素敵でした!!機会がありましたら、また見せて下さい!!」
「「見せて〜!!」」
セインさんの思惑はどうあれ、巻き込まれただろう方々の演習はとても素晴らしいものだった。頭を下げた私たちは走り込む為に、ウォーミングアップに入った。
だから、知らなかったし、思ってもみなかった。この後、彼等が私のファンクラブを発足させるなどとは。