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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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夜中の攻防 4

「お前には慎みは無いのか!?それとも、儀式で召喚された者は皆、破廉恥なのか!?」

 失礼な!!私が羞恥心無いとでも!?

 噛み付くように叫ぶエリゴスさんは私の飲酒時と拮抗するほどに真っ赤だ。こちらもエリゴスさんに噛み付きそうだったのだが、それを見たとたん、すぅっと頭が冷えた。人の振り見て我が振り直せとはよく言ったものだ。彼を見て少し落ち着かなければと肩の力が抜けた。

「お言葉ですが、私は皆様がそのつもりだと言ったり感じさせたりするようならばお話は無かった事にとお願いするつもりでした」

 余裕ができた私が微笑んでみせると、エリゴスさんはもちろん、他の面々も目を丸くした。

 を〜い。私を何だと思っているんでしょうか〜?

 心の中で茶化しつつ、冷ややかに見えるだろう笑顔で皆さんを見つめると、目の合ったディーバさんとソルゴスさんに視線をそらされた。

 どんな想像したの。やましいから視線そらすんだよね。

「早く言わないかっ!!そういう時は即座に否定するものだ!!」

 怒っているように見えて実は私を叱ってくれたエリゴスさんの株が急上昇していく。第一印象が最悪な人ほど好感度が上がりやすいって本当なんだな〜と、しみじみ思う。

 良いイメージが強い警察管が良い行いをしても「いつもの事だ」で済まされるけれど、普段悪いイメージしかないヤクザが慈善行動をとると大騒ぎすされて一気に好感度を上げるようなものかなと本人の耳に入ったら説教コース間違いなしの中々に酷い想像をしてしまう。

「聞いているのか!?」

「はい。ありがとうございます」

「なんだ?」

 訝しげにエリゴスさんが言う。

「私の心配をしてくれた、そのお礼です」

「心配などしていない!!勝手な解釈をするな!!」

 血圧上がりすぎて倒れるのではないだろうかというほどに顔を赤らめ、声を荒げるエリゴスさんは、なんというか被虐心をそそられるというか、非常に弄りがいのある人だ。

 ツンデレ王だ。ここに判りやすいツンデレ熊さんがいますよ〜。

 何故だか、勝っても負けても、エリゴスさんには「小細工されたから負けたんだ!!私が負けるわけがない!!」とか「あんなに吠えておいてこれか!!まさか、わざと負けたんじゃないだろうな!?」とか言われそうな気がする。

 まぁ、これ以上興奮させると、酔いが回りやすくなり勝負にならないだろうとも思った私は無理矢理に話を変えることにした。

「勝敗の行方に関わらず、いつまでもこちらに居座るわけにもいきませんし、出来ればどちらかに住まいを紹介していただけないでしょうか?」

「「「「は!?」」」」

 皆、茫然としているが、こちらの常識では呆気にとられるような発言だったのだろうかと心の中で首を傾げる。

「ミーナ様、それは終の住み処としての発言でしょうか?」

「はい。子供を産める存在の私が陛下の回りをうろちょろするだけならず、居候となると色々と厄介事を生むだろうと思いました」

 ディーバさんの問い掛けに答えると皆一様に笑みを浮かべていた。

「お前はそこまで考えているのか。少しなら認めてやらんでもない」

 視線が合うとエリゴスさんはそっぽを向きながら言う。だが、認められる理由が分からない。

「ミーナ様、城に入った者は罪を負わない限り、死ぬまでここで暮らす事になるのです」

 ん!?なら、出入りのチェックも厳しいんじゃないの!?

 どうやって運んだかは知らないが、子供達が連れて来た得体の知れない女を城に入れるのはとんでもない事件だったのではないだろうか?

「私はどうして入城を許されたのでしょうか?」

 ディーバさんは苦笑を浮かべている。

「アルゴス様とマルケス様がミーナ様ごと移動されました」

 わ〜!?不法侵入〜!?そりゃ、尋問とか言われるわけだわ。

「知らぬ事とは言え、お手数かけました」

「いえ。お気になさらず。 ミーナ様には今お使いになられている部屋をそのまま利用していただく事になります」

 ディーバさんの言葉に否定したい気持ちが溢れ出すが、「拒否は受け付けませんよ」と言外に示されてしまってはしかたない。日本人特有のアルカイックスマイルでごまかす。

「さあ、お二方、勝負に入りましょう」

 勿論ですとも〜。

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