夜中の攻防 2
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読者の皆様、本当にありがとうございます。
御礼小説など上げたいと思うのですが、こんなの読みたいなどリクエストありましたら、一言下さい。
「情緒面での成長が芳しくないってあんた達のせいでしょ〜っ!!」とか、大人達に言いたい事は山ほどあるが後回しだ。椅子にかじりついたままのアルゴス君とマルケス君に目線を合わせる為に床にしゃがみ込んだ。
「私はアルゴス君もマルケス君も大好きだよ?それは間違えないでね?」
「うん。でも、ママ、意地悪だ」
「僕たちを嫌いじゃないのに意地悪言うの?」
ウルウルと涙に濡れた瞳で問い掛けてくる子供たちの頭を撫でて微笑むと、しゃくり上げるように呼吸した後、椅子から私の胸へと飛び込んで来た。
意地悪。意地悪か〜。甘やかされ放題ならそう思うよね〜。なおさら、説明しなきゃわかんないままだよね。
何故私が拒否したのか、一からわかりやすいように教えなければ、学習する機会も成長するチャンスも逃してしまうだろう。
「今はアルゴス君もマルケス君も私が意地悪だと思うかもしれない。けどね?ちゃんと成長して大人になったら、私の言いたいこともわかるよ?」
「ちゃんとって?おっきくなるだけじゃダメなのか?」
聞いてくるアルゴス君に頷く。
「体がおっきくなるだけじゃ、大人とは言えないの」
「お勉強して頭も良くないとダメってこと?」
マルケス君の言葉にアルゴス君は嫌そうに顔をしかめている。机に向かって講義を受ける事を連想したのだろう。
「そうだよ?でも、答えだけを聞いてわかった気になるのはダメ。机に向かってるだけがお勉強じゃないよ?なんでも自分で考えてやってみるのがお勉強なの。もし、出来なくてもそれが今は出来ない事がわかるでしょ?」
誰かが小さく息を飲む音が聞こえる。子供達に言っているが、実は育てる立場の大人達にこそ聞いてもらいたい事だ。アルゴス君とマルケス君は真剣な表情で頷いている。
「ズルして楽チンを覚えちゃうとね?頑張りたくなくなっちゃうと思わない?」
「くっちーと一緒?」
「そう。頑張らなくても美味しいクッキーが食べれるなら、楽チンしたくならない?」
「「うん」」
美味しい味を思い浮かべているのか、アルゴス君もマルケス君もふわりと笑っている。
「でもね?そうやって楽チンばかりしてるとなんにも覚えれなくなっちゃうの」
「「なんで?」」
「ん。王様たちはクッキーの美味しさは知ってても作り方は知らないでしょ?それは、自分達で頑張ってないから、作り方を覚えてないの。でも、覚えなくてもお願いすれば貰えるなら知らなくても平気でしょ?」
「「あっ!!」」
「楽チンを選ぶと覚えなくなる理由はわかった?」
私の言葉に声を上げたアルゴス君とマルケス君だけでなく、大人達もコクコクと頷いている。
「それやりたいな〜って思っても、苦しいからやらなくて良いよ、疲れるからやらなくて良いよって言われ続けたらどうなると思う?」
「「なんにも知らないまんま」」
「そうだね。大人になる為には楽しい事だけじゃなくて、苦しい事も悲しい事も我慢しなきゃいけない事も出てくるけど、大切なお勉強なの。だから、私はアルゴス君とマルケス君に自分で考えて行動出来る大人になってほしくて、ズルしたりなんでももらうだけの大人になってほしくなくてダメって言ったの」
「「うん!!」」
笑顔で頷いてくれた子供たちはそのままぐりぐりと頭をこすりつけてきた。
「俺が我慢しないで交換こしようとしたからママがダメったんだよな?」
「びっくりして泣いちゃったけど、あれもお勉強なんだよね」
「うん。ごめんね?怖かった?」
ふるふると首を横に振った子供達は言う。
「「お酒のお勉強したいな〜」」
そう来たか。と思ったのは私だけでなかったようだが、誰よりも早く動いたのはソルゴスさんだった。酒盃にうっすらと入れた酒を差し出すと、子供達は好奇心いっぱいのキラキラした様子でちょんちょんと浸した指を口に運んだ。
「マズッ!!」
「美味しくないっ!!なんでママはこんなの飲むの!?」
涙目で訴える子供達に王様がさらりと告げる。
「それがミーナの勉強だからだ」
王様の言葉に大きく頷いて「頑張ってね!!」と私に言ってくれた後、アルゴス君とマルケス君は侍女さんに手を引かれて子供部屋に戻っていった。