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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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波乱含みの晩餐 3

 晩餐と晩餐会を同一視していた私は、案内された場所が舞踏会場などで無く、今まで食事の度に案内されていた部屋でホッとする。部屋と言い切るには躊躇するほどに豪奢で広いが、ずらずらと並んだ方々と緊張しながらの食事をしなくてすみそうな事が嬉しい。和やかなままに大人はそれぞれが着席したのだが、アルゴス君とマルケス君はそうはいかなかった。私を挟んで睨み合う。

 そう、仁義なきお膝抱っこ争奪戦である。

「マルケスはもうママにお膝抱っこしてもらっただろっ!?」

「うん!!でも、じーじにアルゴスもお膝抱っこしてもらってたでしょ?」

「ママのお膝じゃない〜っ!!」

 口喧嘩では、頭の回転が早いらしいマルケス君が優勢で、アルゴス君の旗色が悪い。ドカドカとその場で足踏みして本気で悔しがっているが、それでも、アルゴス君は腕力に任せないのが偉いと思う。

「お座りしてないのはアルゴス君とマルケス君だけだよ〜?」

 水を注す私に、アルゴス君とマルケス君はキッと視線を寄越す。

「「ママは黙ってて!!」」

 はい。ごめんなさい。

 王様もディーバさんもソルゴスさんも苦笑いしたままに、私と子供たちに視線を寄越している。恥ずかしさから軽く俯き、並べられたカトラリーの数が一式多い事に気付く。首でも捻っていたのか王様が声をかけてくれる。

「どうかしたのか?」

「はい。空席にカトラリーが並べられているようですが、どなたかいらっしゃるのでしょうか」

「あぁ、王族が一人な。誰だと思う?」

 王様が面白そうに私に視線を寄越す。私の知っている王族だからこその問い掛けだろう。始祖様は私が決断するまでは来ないような事を言っていたし、ジルさんかルッツォさんかのどちらかだろうと見当をつける。だが、調理人たる二人が厨房を離れて食卓につくものなのだろうか?

 ディーバさんの事を呼び捨てにしていたエリゴスさんも王族かもしれないが、はっきりと聞いたわけではないので除外だ。もしエリゴスさんであれば食事そっちのけで心理戦や舌戦を展開しそうな自分が怖い。

 なんだかんだと考え込んでいると、アルゴス君が叫んだ。

「そうだ!!ソルゴスにしてもらったみたいにすれば良いんだっ!!」

「アルゴス!!さんせ〜い!!」

 ソルゴスさんみたいってなに?

 二人の口から出たソルゴスさんを伺うと、少し考え込む仕草を見せた後で「ああ!!」と合点がいったのか小さく頷いて声をもらした。

「アルゴス様、マルケス様、女性のミーナ様には無理です」

「「えぇ〜っ!?」」

 アルゴス君とマルケス君の盛大なブーイングもどこふく風よとばかりにソルゴスさんは動じない。女性の私が無理とは力技なのだろうかと思っていると、見透かしたようにディーバさんが教えてくれた。

ソルゴスさんがとった方法とは大股を開いて着席し、左右の膝に一人一人を跨がらせるという物だそうだ。アルゴス君とマルケス君には申し訳ないが、タイトなスカートを履いている身でそんな事をすれば、裾が捲くれあがって下着丸出しの痴女である。パンツスタイルならいざしれず、スカートでなど断固拒否だ。

「意地悪言うなよ!!」

「そうだよ!!意地悪しないで!!」

 子供たちはソルゴスさんが意地悪していると思っているようだが、彼は私を気遣い善意で言ってくれているのがよくわかる。どちらかというと今の心情的にはアルゴス君とマルケス君の要求の方が意地悪だ。

どうしたものかと思っていると侍女さんに案内されて誰かが入ってくる。

「申し訳ありません。遅くなりました」

 この声はエリゴスさん?

 背中を向けた状態で居る為に声しか確認出来ない。

「「エリゴス!!どう思う!?」」

 憤る子供たちの言葉から晩餐の席に座るのがエリゴスさんだと悟る。

 あ〜。私からは攻撃なんかしないからエリゴスさんも止めてね〜?

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