こどものクルクル 5
なんだかモヤモヤした俺に、マルケスがにーちゃんから離れて俺に抱きついてきた。
「ね〜?よかったね〜?アルゴス」
すっごい嬉しそうなマルケスに文句はなんも言えない。
「だな」
「ホントにな」
俺たちに混ざって、じーじが笑ってるけど、やっぱり俺はモヤモヤした。
あ。分かった。俺がマルケスに一番にじゃなくてにーちゃんが最初にありがとうだったからモヤモヤなのか。俺はマルケスに一番人気だと思ってたからな〜。スッキリしたけど……
「俺ってちっちぇ〜!」
「当然だろ」
ニヤニヤしながら言ったじーじの足にキックしてやったら、笑いながら「いて〜痛〜」ってた。
む!本気で蹴っ飛ばしてやったのに効いてないのか。じーじが痛いキックのお勉強もしないとな!
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「アルゴス様、マルケス様、オーシャンからお返事が来ましたよ」
「「ありがとうございます」」
あの、お手紙なくなってなかった事件のすぐ後にヴォルケーノからお返事が来たから、それにお手紙書いて出してもらった俺たちは、転送の魔方陣がある部屋で、じーじとリオ兄とでまったりしてた。イールとイースとも一緒に居たかったんだけど、部屋の皆がビクンチョして仕事にならないからって、最初に居た外で待っててもらってる。
「みんな、ヘタレだな〜」って言おうとしたらマルケスが、「お仕事の邪魔してごめんなさい」って俺に聞かせるように言ったから止めた。
そうだった。俺たちがお邪魔ムシなのにそんなん言ったら、サイアクだよな。って思ったからな。それよりも今はこどものクルクルだ!
「「ありがとうございます」」
「それが……」
ちゃんとごあいさつしたのに、にーちゃんが、俺たちにお手紙をくれない。「なんでだ?」と思ってたら、じーじが口に指を一本あてて、「シー」ってやってる。隣ではリオ兄が耳に手のひらをあてて、よく聞こえるようにやってる。
まさか!!
「鏡が入ってるのか!?」
「え!?本当に!?」
叫んだら、にーちゃんが頷いた!
「はい。おそらく、鏡が入っているかと……。声らしきものが聞こえます」
じーじが面白そうにしてる隣で、リオ兄の感じがちょびっとおっかなくなった気がする。でも、それよりも鏡があるかもってのにビックリして、ワクワクして、にーちゃんが持つ、ちょっと膨らんでる封筒に耳をあてた。
「……?…、……」
「「聞こえた〜っ!!」」
「鏡はあっちとこっちの2個なきゃダメだろ?」
「話すために貸してくれたのかな?ぼくたちは大人しかダメなのにオーシャンはスゴいね〜」
ビックリしながらも、お手紙を開けたら、やっぱり鏡だった!
「「お〜」」
「「聞こえた!」」
思わず声が出たら、あっちの誰かのビックリした声がした!
急いでひっくり返したら、あっちも二人で、真っ黒な髪の奴と、黒と緑を混ぜた髪の奴で、両方、髪がビロンって長い。
「こ、こ、こん……」
「コラ!!ちゃんと喋れ!」
「そ、そんなニョ……」
あ。噛んだ。キツネのマネしてた緑のヤツはマルケスみたいなんかな?んでもってもう一人の真っ黒が俺か?