こどものクルクル 4
「そう!こどものクルクル!皆も忙しいのに、邪魔してごめんなさい」
忘れてたわけじゃないぞ?大人だけでなく、だれかに物を頼むときは「お願いします」って言って、忙しそうだったら、「邪魔してごめんなさい」を言わなきゃなんだよな。「俺たちのワガママで、ごめんなさい」って。自分がされて嫌なことはやらない。やらなきゃいけないときは「ごめんなさい」だったよな。
ママの教えだ。
「ごめんなさい」
マルケスもママの教えを思い出したみたいで、皆に頭を下げた。そしたら、にーちゃんとカッコいいおっちゃんがポカンって俺たちを見てた。
あ。にーちゃん達だけでなく、部屋に居る皆だな。
「……アルゴス様、マルケス様……」
なんか、おっちゃんがクシャッて顔になったと思ったら、震えてる声で俺たちの名前を呼んだ。
ぷるぷると揺れてるおっちゃんに、「どうしたんだ?大丈夫か?」って聞こうとしたら、バーン!ってスッゲー音がして、マルケスがビクンッてして俺に引っ付いてきた。
なんだ!?ビクンッてなっただろ!?……マルケスが。俺もビクンチョしたのはナイショだ!!
「よ〜う。チビが邪魔してんだろ?」
「「じーじ!?」」
「始祖様!?」
じーじか!!俺たちをビクンチョさせたのは!!ダメだろ!?じーじ!
部屋の皆も真ん丸な目でデッカイ声だしてじーじを見てた。
「おう。転送してもらったか?」
じーじが俺たちの頭をくしゃくしゃしながら言ってきたから、「まだだよ」って言おうとしたら、手紙がなくなってた。
「「無い!!」」
「あれ!?どうしてだ!?」
「ど、ど、……し、て」
ビックリしすぎたマルケスは、ガタガタ震えてる。ダメだ!!俺がしっかりしなきゃ!
「大丈夫!ここまではあったんだ。ここにあるはずだ!!な?」
「あるごしゅぅ〜」
涙目で引っ付いてきたマルケスが「うん」って頷くけど、俺も分かんなくてホントは「なんでだあ!」って叫びたい。でも、そんなんしたらマルケスがもっとビクンチョしちゃうはずだ。
「アルゴス様?マルケス様?」
どうしようって思ってたら、多分、初めに会ったにーちゃんの、ノンキな声がした。
「どうされたんですか?」
「ぼ、ぼくだぢの、おでがび〜」
泣いちゃいながらも言うマルケスににーちゃんが笑顔で頷いた。
なんだよ!笑い事じゃないだろ!?蹴っ飛ばしてやる!!
「はい。無事に出しましたよ?」
「「は!?」」
なんだって!?
にーちゃんを蹴ろうとした足が止まった。
「先程、始祖様がいらした時にお二人がお手紙を落とされたでしょう?早く出したいようでしたから、差し出がましいと思いましたが、オーシャンへ転送しましたが、何か?」
にーちゃん。「落とされたでしょう?」じゃないだろ〜。もう!
なんか、怒って良いのか笑って良いのかよくわかんなくなって、「イーッ」て言いたくなった。でも、マルケスは違った。
「ありがどぉ〜!」
涙とかで、ぐっちゃぐちゃになった顔も拭かないでにーちゃんに走ってって、ヒシッてした。
「いえ」
なんで照れてんだ。にーちゃん。でも、マルケスが泣くの止めたから良いか。
「にーちゃん。ありがとうございます」
お手紙出してくれたことはお礼しなきゃなと俺も言ったら、にーちゃんがなんか不思議な顔をして、じーじが爆笑してた。
なんでだ?