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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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ママへの奨め 4

「ですから私共は印象付ける為に、いかに巧みな話術を覚えるかに力を注いでいるのです。お酒の席では芸人や踊り手などの妙技に頼るのですが、ミーナ様はどういった手法をなされているのですか?」

 ディーバさんが、飛び込み営業する際に印象に残る為にはどうすれば良い物かと問い掛けてきた。

「はい。私の世界では名刺という簡単な紹介を載せた小さなカードを使います。もちろん、皆様大勢の名刺を貰うわけですから、差別化が重要なポイントになります」

 言って、いつも入れている名刺入れから楓付きの名刺を一枚取り出してディーバさんに渡す。

「その貼られた紙は私の名前と同じ植物を模しているんです」

「残念ながら文字は読めませんが、この紙細工は素晴らしいです。この細工でミーナ様は、他の方々と差別化をはかっているというわけですね?」

 珍しそうに光に透かしたりしているディーバさんの手元にある名刺を面白そうに王様も見ている。

「これは面白いな。私にも貰えるか?」

「はい。よろしければ、ソルゴスさんもどうぞ」

 王様に請われ、ソルゴスさんにも渡す。ついでとばかりにディーバさんには新しく折り紙細工付きの名刺も渡す。

「二度目以降の方にはただ今ディーバさんに差し上げた物を使用しています」

「この可愛らしい細工もミーナ様が?」

 名刺に貼り付けた折り紙細工に興味津々なディーバさんに笑顔で答える。

「はい。そちらの細工は折り紙細工と言いまして、その名の通り、一枚の紙を折って作られ・・・・」

「「ママ!?」」

 ディーバさん達に説明している最中にかけられたアルゴス君とマルケス君の声に振り向く。二人は扉から顔半分だけを出して不安そうにしていた。

 かっわい〜っ!!でも、どうしたの?悲しくなっちゃったの?

 思わず駆け寄った私はだからこそ気付けなかった。ディーバさんが折り紙細工に食いついた理由に。

 そして忘れていた。ディーバさんが自由に魔術を使える上に、アルゴス君とマルケス君の魔術の教師だと言う事を。

「「ママ」」

 近付いた私に今度は照れ臭そうにもじもじしているアルゴス君とマルケス君を二人まとめて胸に抱き込む。

「約束したもんね」

「「うん!!」」

 二人の目を見ながら言うと、嬉しそうに大きく首を縦にふったアルゴス君とマルケス君が頭をぐりぐりとなすりつけてきた。アルゴス君とマルケス君には何度か、こうしてぐりぐりされてきたが、もしかして、犬科の生物がやる匂い付けという名のマーキングか?と疑ってしまう。

「ママ、約束守ってくれたな!!」

「うん!!ママ、お約束守ってくれたね〜」

 ぐりぐりをやめた二人は顔を見合わせ、幸せそうに笑っている。

 あ〜!!もう!!可愛すぎる!!可愛すぎる〜っ!!

 身もだえしたくなる気持ちをぐっと抑えていると、はしゃぎながらアルゴス君とマルケス君が話し掛けてくる。

「ママ、いっぱい遊んでくれるんだよな?」

「僕ね〜、ご本読んでほしいな〜」

「え〜っ!?おいかけっこが良い〜!!」

 きゃっきゃっと言い合う二人に、教育するならばと口を開く。

「それより先にすることがあるよ?アルゴス君とマルケス君にはなんだかわかるかな?」

 キョトンと目を丸くした後、アルゴス君とマルケス君は眉間にしわを寄せて考え始める。

「おしっこ?」

 アルゴス君の答えに首を横に振る。

「おてて洗うの?」

 マルケス君の答えにも首を横に振る。

「「なぁに〜?」」

 答えをせがんでくる二人の頭を撫でてからディーバさんへと話を振る。

「ディーバさんはわかりましたか?」

 満面の笑みで頷いたディーバさんが答える。

「ご挨拶ですね?」

「そう、朝起きた時はおはようございます。寝る時はお休みなさい。今は朝じゃなくお昼だけど、きちんとご挨拶が出来る良い子はいるかな〜?」

 問い掛けたとたん、目をキラキラと輝かせた二人は、王様達へと向きをかえる。

「「おはようございますっ!!」」

 よく出来ました!!

「おはよう、アルゴス、マルケス」

「「おはようございます。アルゴス様、マルケス様」」

 挨拶を返してくれた王様とディーバさんとソルゴスさんに、誇らしげな表情を見せるアルゴス君とマルケス君。そんな二人が可愛らしくて誇らしくて、ぎゅっと抱きしめた。

「良い子達、みーつけたっ!!」

「「きゃーっ!!」」

 もう!!本当に可愛いぞー!!

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