こどものクルクル 1
ママとバイバイした俺たちはイールとイースとじーじとリオ兄で、こどものクルクルをするために、イールとイースにはちょびっと狭そうな中庭で手紙を書いてる。
ママと離れるのはイヤだけど、ちょびっとの間だからな。ガマンは出来るぞ?皆も居るしな。
それに、どうしてもなキンキュージタイな時には大声を出せば、ママにも聞こえると思うしな。なんにもないのに叫ぼうとしたら、じーじに止められた。「いーじゃん」ったら、「邪魔すればどうなるか覚えてんのか?」と言われてやめた。
会える時間がちょびっとになるのは嫌だしな。
「俺はこれでよしっと!マルケスは?」
ちゃんと封筒に入れてからマルケスを見る。
「もうちょっと待ってて?秋になったら、ドングリとか贈って良いですか?と。僕も良いよ?」
ニコニコが止まらない俺たちは、自分のお手紙を持って、もっともっとにんまりする。
「グルー?グルァ?」
「アルゴス、マルケス、歩く?乗る?言った」
ん?わかんないぞ?
「歩く?乗る?」
「乗せてもらうほど遠くないよ?」 イールとイースとリオ兄の言葉に、なんだかよくわからなくて、俺とマルケスは首をかしげる。そしたら、じーじがクルッて周りを見て、うんうんって頷いてから、俺たちにニンマリした。
なんだ?じーじ、わかったのか!?
「じーじ、わかったのか!?」
「え!?本当に!?」
俺たちが聞くと、じーじのニンマリがますます深くなる。
「ああ。お子ちゃまはわかんねーかなぁ〜」
なんだと!?なんて意地悪なんだ!!
マルケスはプンスカ怒る俺と違った。涼しい顔って言うのか?よくわかんないけど、ヘッチャラな顔してる。なんでだ?
不思議そうな顔をしてたのか、マルケスは俺にニコッてしてくれる。
「はい。僕たちはこどもだからわかんないの。じーじ、教えてちょうだい?」
そっか!じーじはなんでも知ってるけど、聞かなきゃ教えてくれないもんな!
「マルケス、すげー」って、ソンケーの眼差しで見ていると、またニコッてしてくれた。
「じーじ!俺たちに答えちょうだい」
俺も言うと、苦笑いしたじーじが、頭をくしゃくしゃってしてくれた。
「仕方ねーな。良いか?今は教えるが、もっと自分たちの頭を使え。考えて考えて、それでもわかんなかったら聞け。じゃないと、楽しまくってバカになったお前たちはミーナちゃんに泣かれるぞ?」
「「あ!」」
そうだそうだ!ママは「なんでもお勉強だよ」って言ってた。
「どうしよう〜。アルゴス〜」
言い出しっぺのマルケスは、涙目だ。
「大丈夫だ!!じーじ!ちょっと待ってて!俺たち、今から考えるから!イールとイースとリオ兄もまだ待っててね?」
俺とマルケスは、一緒に大人になるんだ!!俺がわかんなかったらマルケスが、マルケスがわかんなかったら俺がやれば良いんだ。間違ったらやり直せば良いんだ。
「アルゴス〜」
皆は優しい顔でうんうんってして、マルケスは俺にヒシッてした。声は出てないけど、胸がしっとりじんわりしてきた。泣いてんのかな?
「大丈夫だ。マルケス、頑張ろ?」
「ん!」
聞きにくい声だから、きっと泣いてんだな。