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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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二国会議 二日目 6

「ミーナ様、私の独断と我が(わがまま)な行為で傷付けましたこと、深くお詫び申し上げます」

 抜ける青空のような色の髪の中年の男が土下座したままに、質問者たる王様ではなく、ターゲットだった私に言う。

 王様を飛び越えてしまったのは都合が悪いが、「たち」としないところは好印象だ。数に物を言わせることなく、他人のせいにすることなく、一応は自分で考えて反省する姿勢がある。

 ふとフォレスト組に視線を向けると、落ち着いたのか興奮したのか、シュリさんが恐ろしい表情をして、「そうだそうだ」と声を出さずに口をパクパクさせている。

 その「そうだそうだ」はどこにかかるの?シュリさん。前にアレスさんと盛り上がってたみたいに「傷付けた」にかな?

 彼女の中でどれだけ美化とか弱い庇護対象な人物像になっているのか、聞きたいような聞きたくないような複雑な心境におかされる。

 青空のような髪いろの彼の言葉を引き継ぐように鉄のような色の髪の青年が神妙にしながら口を開く。

「私は、此度の責任を外交職から外れ、(はなは)恐縮(きょうしゅく)ではございますが、子供たちの教育に携わって行きたいと思います。もちろん、斬首(ざんしゅ)されても仕方ない事を仕出かした上で、このような願いはミーナ様や我が国から反対されて(しか)るべきとは存じております。もしも、ミーナ様、並びにフォレストの皆様が私の首をお望みならば、どうぞ……」

 要りません!首なんて要りません。食材以外のスプラッタは嫌いです。

 鉄色の髪の青年の発言に心の中では全力でスプラッタは辞退していたが、私はそんな彼にも好感を抱いた。その理由は「死に逃げなかったから」だ。どんなに険しくても自分で責任を負うと告げたからだ。

 私は本気で責任をとるつもりなら、「退職や死」などではなく、事態の収拾を図ることが最良だと思っている。なにもせずに「後はよろしく」とばかりに居なくなるのは卑怯で傲慢(ごうまん)過ぎて、生きているなら探し出して「自分の不始末は自分でつけろ」と、ぶってやりたい。

 というか、やった事がある。中途入社の歳だけは重ねたオジサンがね?無茶な条件で仕事とってきて、当然のように「NO」を上司から告げられて、先方にもこちらにもなにも告げずに会社から逃げた。こちらの事情など知るよしもない先方からの確認の電話に、人を年齢と性別で見下し、セクハラ発言ばかりするが、教育係りだからとガマンすればこれかと私はキレた。

 着信も拒否してアパートはもぬけの殻だった奴の潜伏先に社の懇意にしている探偵さんと弁護士さんと共に乗り込んだ。結局は、文字どおりに奴の首根っこをひっつかんで、先方に頭を下げて違う条件でどうにか許して貰ったが、あまりにもムカついたので奴が再就職を図ろうとした他社からの問い合わせには詳しく丁寧に退職理由を応えて差し上げた。大抵は絶句してから言外に「無いわ〜」と匂わせていたが当然だ。社の不利益になる人間を採用するわけがない。言わずもがなだが、同業種な中途入社の場合は履歴書を見て前の職場から勤務態度を聞く事がある。それを利用して効果的に奴に復讐してやったのだ。

 陰険?最後まで自分の非を認めなかったヤツが悪い。あの時は奴のせいで先方からの酒宴が断れなくて、ね〜!?あ〜!!今思い出してもムカつくわ〜!

 話が思い切り反れたが、私怨(しえん)というなかれ。以上、責任を死や退職に求める人間が嫌いな理由でした。

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