二国会議 二日目 3
お久し振りですm(_ _)m
アルゴス君のようにフンフンと鼻息荒く決意を固めた私の心の中での宣言などもちろん知るよしもないフリストさんの説教は続く。
「お前たちはオーシャン国民に卑怯者の汚名を着せるためにここに来たのか!!」
「いえ!!」
腹の底から出した耳に突き刺さるフリストさんの声に、ひれ伏した彼等が弾かれたように顔を上げて思わずといった風に反論の言葉を漏らした。その声にギロリと彼等を睨み付けたサンタさんが怒鳴りつける。
「馬鹿者っ!!目論見が成功していれば、そうなったことが何故判らん!!」
正論だ。そんな単純なことにも考え付かなかったというなら、オーシャンの四人は疑いようのない本物の阿呆だ。強いて彼等に良い見方をするなら、それをしなくても不利益に繋がらない、極めて恵まれた環境におかれていたと言うべきか。
良い見方じゃないか。
我ながら小馬鹿にしたような考えだなと反芻する。
それよりもフリストさんだ。彼のあまりの怒気に、オーシャン、フォレスト含めて誰も近づけないでいるが、ご老体ゆえに、倒れて仕舞わないか心配だ。スッと視線をずらせば、ソルゴスさんが小さく頷いてくれた。
「倒れたり気分を悪くしたりなど、何かあったらフォローして欲しい」という私の意図を正確に汲んでくれたらしい彼は、激昂するフリストさんに音もなく速やかに近付いて行く。
速やかに動いてくれたところから、私が示唆せずとも彼はやっていただろうとは思ったがどちらにせよ、これで万が一の事態にも対応出来ると胸を撫で下ろして居ると、ぶるぶるとサンタクロースさんが震え出した。最悪の展開を描いたのだろうソルゴスさんが走りたどり着くより早く……
「う〜っ」
なんと、フリストさんはくしゃりと顔を歪めるとそのまま床へと泣き崩れた。
倒れるよりましなのかもしれないが、慟哭する彼に、どう対処すればよいのかわからなくなる。それはソルゴスさんも同じらしく、たどり着いたものの、なだめれば良いのか見守った方が良いのか戸惑っているようだ。オーシャン、フォレストの皆も、ただただ見守っていた。
叱られる立場の彼等も茫然としたようにサンタクロースさんを見つめている。
「儂は!!オ、シャ、……のっ、使、者としてっ!!う〜っ」
床に己の手を打ち付け、悔しくて仕方ないと彼は泣いている。それは聞く者見る者全ての胸を貫いた。同郷の者が引き起こした事態に、切なくて辛くて悔しくてて仕方ないと全身で訴えて、申し訳無い、これをどう詫びれば良いのかも分からないと言外に告げていた。
常識的に考えるならば、ホストであるこの国の最高責任者の王様が場をまとめるのが当然なのだろうが、フリストさんの慟哭する理由は私にあるとなるならば、非常識だと謗られる事も躊躇わずに当事者が動いていかなければならないだろう。
嫌だなんて言ってる場合じゃないよね!!行け!楓!
「フリスト様」
気合いを入れた私が彼に声をかければ、フリストさんは泣き濡れた顔をそのままに必死に言葉を紡いだ。
「ミー、ナッ、さ、まっ!!」