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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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ママへの奨め 3

文中で、主人公が飲酒列伝を回想しますが、未成年者はもちろん、お酒を嗜む方も危険ですので決して真似しないで下さいm(__)m

まず死んじゃいます。


また、警告を無視して真似されて、生命の危機にさらされても当方は責任を負いませんので、ご了承下さいm(__)m


もう一度言います。

死んじゃいますので、絶対に彼女の真似をしないで下さいm(__)m

 口を開きかけた私を遮り、王様が言う。

「だからミーナ、どうか我々に接する時に纏う鎧をといてくれないか?」

 驚いた。話そうとしていた内容もどこかに行ってしまったほどに驚いた。「そんな事は無いですよ」としらばっくれる事も出来たが、私はしなかった。ばれているのを取り繕うような真似はしたくなかったし、取り繕えば痛くも無い腹まで探られそうだからだ。

 さすが王様。他人の機微に敏感でないと足元を掬われる危険性が高いのだろう。

「やはり気付いておられたのですね」

 妙に清々しい気分になり、ふっと肩の力を抜いて、営業用の仮面を外す。

「いや、気付いたのはソルゴスが先だ」

「ソルゴスさんが?」

 聞けばソルゴスさんは近衛騎士団の隊長を務めているという。病室で交わした言葉の端々から「良い意味で一筋縄にはいかない人物だ」と判断し、王様に進言したそうだ。

 近衛騎士ともなれば、常に王様の傍に居て、善悪、敵味方を瞬時に判断して警戒していなければならないはずだ。だからこそ、私という存在をたった一時の対話で判断し、王様に進言する事が出来たのだろう。

 腹の探り合いをしている最中は王様を見直したものだが、私を評価したソルゴスさんこそを尊敬する。

 あとで、判断方法と基準を教えて欲しいな〜。そんでもって営業の武器にするんだ〜。絶対、営業につかえるって!!

 浮かれていると、誰も口を開かないのは私待ちかと感じて口を開いた。

「先程も申し上げた通り、私は迷っております。正直に申し上げますと、私を疑う事無く慕ってくれるアルゴス君とマルケス君が愛おしいのです。例え、帰る事が可能だとしても彼等の縋る手を振り払って後悔しないのか?と自問しております」

 言うと温かい眼差しを三人から貰った。よく見るとディーバさんは目尻をうっすらと朱に染め、涙まで浮かべている。

「それは、帰る事が出来るにしても、帰郷よりもこちらへの思いが強いという事だな?」

 柔らかい笑みを浮かべて問い掛けてくる王様に正直に答える。

「はい。迷っている事は確かですが、あの子達に二度と会えないのは辛いです」

 それは、不思議な感覚だった。声にしたとたん、あれだけこんがらがっていた思考という名の毛糸玉が魔法のようにスルスルと解けていく。言葉にして改めて感じ、驚いた。出会って間もないというのに、アルゴス君とマルケス君と離れがたいと心が訴えていた。

 そう、私は帰りたくない。アルゴス君とマルケス君に「要らない」と言われるまで二人のママでいたいと強く感じているのだ。

「ミーナ様っ!!」

 ハンカチを取り出し、必死に涙を拭うディーバさんをみかねたのか、落ち着く時間を与えるかのように、王様が侍女さんにお茶の入れ代えを頼んでいた。

 代えられたお茶を楽しんでいると、落ち着いたらしいディーバさんに問い掛けられる。

「ミーナ様は外交の職についておられるのですか?話術や駆け引きなどの手腕は見事でした」

「ありがとうございます。私は自社の製品を他社へ売り込んだり、必要に応じて他社と他社との橋渡しをしております」

「ミーナ様が直接出向くのですか?」

「はい。部下である私は、監督ともいえる上司の指示、あるいは私自身の意志で営業をかけます」 やけに食いつくなと思っていると、ディーバさんは宰相としての顔も持っているという。

 宰相といえば、内閣のトップで、王様の次に偉い人なんじゃないの!?表情豊かなこれが素で、執務中は何かの仮面を被るの?

 首を捻っていると、ディーバさんが物凄く嬉しい申し出を王様にしてくれる。

「陛下。お許し頂けるのであれば、是非、ミーナ様に外交のお手伝いを頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」

「ミーナさえよければ、許可しよう。だが、了承を得ても、ミーナへの無用の軋轢を生まぬようにくれぐれも注意しろ」

 確かに、どこの馬の骨とも知れぬ変身出来ない女が、王様に最も近いと言っても過言ではないディーバさんの傍をうろちょろすれば、誰もが面白くないに違いない。

「ミーナ様、よろしいでしょうか?」

「はい。私でよろしければ、是非お願いします」

 こちらへ永住する方へ気持ちは固まりつつあるとはいえ、これで帰る事が出来なくても、アルゴス君とマルケス君に「もう要らない」と言われても、気持ちは盛大に荒れるだろうが、職さえあればどうにか暮らしていける。

「あ!!ミーナ様。事後承諾になりますが、こちらではお酒を酌み交わす機会も多いのですが、大丈夫でしょうか?」

 はい!!喜んでーっ!!

 内心でガッツポーズを決めつつ、こちらの世界でも飲み二ケーションがあると知り、営業の武器を活用させてもらう事にする。先ずは手回しからだ。

「お願いがございます。私がアルコールに弱いという情報を流して頂けないでしょうか?」

「アルコールに弱いとは、どの酒に対してだ?」

「こちらのお酒は飲んだ事はございませんが全てでお願いします」

「わかった。皆には伝えておこう」

「ミーナ様、今宵の晩餐にて本当に少しづつ舐める程度に各種試してはいかがでしょうか?そうすれば、わざわざ陛下がおっしゃらなくても噂として流れるのではありませんか?もしかして、一滴でもダメでしょうか?」

 不安げに私を伺うディーバさんには大変申し訳ないのだが、言葉で説明するより実際に目にしてもらった方が納得もしてもらいやすいだろう。久しぶりの飲酒への期待に、浮かれまくる心をひた隠し、頭を下げてお願いする。

 いや〜ん、どんなお酒でも多分大丈夫〜。ウォッカも止められたから以降の状態はわかんないけど、ショットで五杯はイケたし〜。

「お願い出来ますか?」

「では早速、そのように」

 ベルを鳴らし、侍従さんにお願いしているディーバさんを見ながら心の中でお祭りわっしょいとばかりに浮かれていた私を、ただ一人ソルゴスさんだけが訝しげに軽く首を捻っていた。

 さっすがソルゴスさん!!

楓がやった、ウォッカをショットで五杯なんて、普通は無理ですからね!!

本当に絶対に真似しないで下さいm(__)m


未成年者はもちろん、お酒を嗜む方も危険ですので決して真似しないで下さいm(__)m

急性アルコール中毒で本当に死んじゃいます。

一杯なら良いだろうとあげあしとられても困ります。


警告を無視して真似されて、生命の危機にさらされても当方は責任を負いませんので、ご了承下さいm(__)m


くどいけれど言わせて下さいm(__)m

死んじゃいますので、絶対に彼女の真似をしないで下さいm(__)m

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