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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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カブトムシ大作戦 4

「さっすが秘密兵器だ!!」

「凄いね〜。全部いっぱいだね〜」

 五本全ての樹をチェックし終えたアルゴス君とマルケス君は興奮しっぱなしだ。それも当然と言えるほどに、秘密兵器を塗った全てが甲虫のなる樹と化していて、蜜争奪戦に敗れたのだろう虫が地面にも蠢いている有り様だったのだから、カブトムシ大量捕獲を期待していた子供たちに「興奮するな」と言う方が無茶な話しになる。

 うん。シュリさん、来なくて正解。失神する前に発狂するわ。

「カブトムシのオスはこれに入れて」

「メスはこっちね〜。あ!!クワガタのオスはランティスのに入れてね〜」

 ラムセスさんと兵士さんが新たに持って来てくれた虫籠に、楽しそうにアルゴス君とマルケス君が指示して虫が収められていく。

「全部は無理だから、カッコいいのだけだな」

「そうだね。フフフ〜。 あ!このままにしてたら、カブトムシとかはお家に戻る?」

「そうですね。捕獲しない虫はそのままにしておけば、こちらがなにもせずとも居なくなります」

「「良かった〜」」

「いっぱいすぎてお世話出来ないもんな」

「可哀想だもんね」

 マンティスさんの言葉に嬉しそうに笑った二人はしかし、すぐその場にしゃがみこみ、額を合わせて会議を始めた。ぽしょぽしょと小声で話しているために聞き取れないが、子供たちは真剣そのものだ。その内に考えが纏まったのか、「うん」と力強く頷いて立ち上がった。

「リオ兄!!オーシャンにも欲しい奴、居るかな?」

「僕たち皆で分けてもいっぱいだから、あげたいの。子供、居るよね?」

 ああ。アルゴス君とマルケス君は成長しているなと嬉しく思う。誰に言われずとも周りの事を、今はまだ知らない他国の子供たちを想い、提案している。「自分達が嬉しいから、皆も嬉しいんじゃないか?」と行動している。見ると始祖様も面白そうに顎をさすっていた。アレスさんたちも優しく頷いている。

「オーシャン、林、少ない。子供、カブトムシ、クワガタ、喜ぶ」

「「本当〜?」」

 リオさんの言葉に、子供たちの目も顔も俄然輝いた。

「じーじ!!どうすれば、死んじゃわないでカブトムシ、オーシャンの皆に贈れる?」

「いっぱい時間かかると死んじゃうよ。可哀想だよ」

 分からないことはじーじに聞こう!!と思っているらしい子供たちの言葉に始祖様は頷いて、二人の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「転送陣があるだろ。あれ使えば、すぐだ。ディーバに贈ってもらえ」

「「はい!!」」

 鼻息荒くふんふんと言っている子供たちに乗っかって、始祖様に小さな疑問を口にした。願わくば、子供たちにも意味が通じますように。

「ヴォルケーノの王族にもお子様はいらっしゃいますよね?」

「ああ。居るな」

「居る、アルゴス?マルケス?」

 私の意図を理解してくれたリオさんがアルゴス君とマルケス君に問えば、子供たちは満面の笑みで大きく首を縦に振った。

「もっちろん、ヴォルケーノにもあげる!!」

「絶対喜ぶよね〜!!」

「よっし。気合い入れてプレゼント選べよ?」

「「お〜っ」」

 始祖様の言葉に、気合いを入れた子供たちは嬉々として、オーシャンとヴォルケーノに贈る為のカブトムシとクワガタを真剣に選んでいた。


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