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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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カブトムシ大作戦 1

「おはようございます。アルゴス様、マルケス様」

「おはよう、ごじゃ……まふ」

「お……よ、……ごあ、ぃ……あふ」

 昨夜、アレスさんの思わぬアクション劇に大興奮だった子供たちの寝入りは大変悪かった。そのせいか、普段は寝起きの良いアルゴス君とマルケス君は午前三時半になる今、広場に集まった面々に、呂律も回らず、フラフラしながら挨拶した。今居るのは、始祖様、リオさん、アレスさんにラムセスさん、発起人のマンティスさんとランティスさんだ。宣言通り、イールとイースの姿はない。子供たちはいつもはすぐに駆け寄るのに、始祖様にもリオさんにも目をくれない所を見ると、相当熾烈な戦いを睡魔と繰り広げているらしい。

「アルゴス様、マルケス様、私だけだで見てきますので、どうぞお休みになっていて下さい」

「ん……?ん〜?ヤダッ」

「うぅ〜。僕たちも〜、カぅ……ト、ムぃ〜」

 あまりの姿に苦笑したアレスさんの言葉に、ゆっくりと意識が浮上してきたのか、むずがるように子供たちが主張した。だが、まだグダグタな二人は自分で歩けそうにはない。

 しゃっきりさせる方法……、あるじゃない!!

「じゃあ、私の真似をしてくれるかな?」

「「ママの?」」

 不思議そうな表情で聞き返してくる子供たちに微笑むと皆にも声をかける。私がやろうとしているのは、そう、日本ではお馴染みのラジオ体操だ。

「皆さんも、両手を広げてぶつからない程度に離れて下さい。 はい!!じゃあ、体操を始めます」

 戸惑いながらも間隔をとってくれた皆の前で、私はラジオ体操を始めた。




                      □■□■□■□■□




「面白い!!もう終わり?」

「ぽっかぽかだね〜」

 ラジオ体操第一だけではあるが、スローペースにやり終えると、子供たちのエンジンは全開で、楽しそうにはしゃいでいた。

「今はおしまい。気に入ってくれたなら、またやろうね」

「「はい」」

 満面の笑みで良いお返事をしてくれた子供達と手をつないでいると、体操に参加してくれたみんなが興奮気味に話しかけてきた。

「これは良いな。訓練に取り入れても?」

 ラムセスさんが言えば、

「眠気対策も勿論ですが、体も解れますし、素晴らしいですね」

 ランティスさんも相槌を打つ。

「オーシャン、真似、良い?」

 ラジオ体操が気に入ったらしく、リオさんが意外にも顔を上気させて問いかけてきた。

「訓練に使っても、オーシャンに教えても私は大丈夫ですよ。でも、リオさん、私ではなく、フォレストの王様にも聞いてからにしてもらえますか?」

 大袈裟だが、知識や文化の輸出となれば、その国の王にも伺いを立てておかなければならないだろうと思って口にすれば、始祖様も頷いた。

「そうだな〜。俺からも話すが、その方が良いだろ。朝飯にでも聞けば良いな」

「わかった。ミーナ、ありがとう。じーじ、良いやつ、ありがとう」

 珍しく無表情を崩したリオさんは嬉しそうに笑い、どこがどうなったのか、表現は悪いが、やたらとなついている始祖様の手を握り、ぶんぶんと上下に振った。

「あ!!俺たちも」

「仲間だよ〜」

 リオさんの真似をしてアルゴス君とマルケス君は、始祖様が苦笑いしているのにも気付かずに嬉しそうにその手を振り回していた。


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