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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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二国会議 初日 7

 誰かの「ヒュッ」と息を飲む音に、我に返ったのか、フリストさんが頭を左右に緩く振った。

「そんな事が……。儂等には信じられん」

「アルゴス様とマルケス様にもイールとイースはそのように?」

 平静を保とうとしているのだろう無表情で爬虫類さんが問いかけてくる。

 いえ。失礼ですが、私はあなたたちの驚いている事が理解出来ませんよ〜。イールもイースも本当に紳士ですよ〜。

「いえ。ママの匂いが落ちたら嫌だと申しましたら、イール様とイース様は笑って茶化しておられました」

「拒否を受け入れた!?」

「笑って茶化した!?」

 悲鳴に似た声が上がると、再びオーシャン組が一塊になり、相談し始めてしまった。完全に置いてきぼりなフォレスト組は皆、視線で「どうする?」と語りあう。すると、エリゴスさんが王様に何かを囁いた後、こちらに向かってきた。

「すまん。私の発言のせいだ」

 たどり着くなり頭を下げてくるエリゴスさんに慌てて飛び降りて椅子を譲る。

 いや!!だって、したっぱもしたっぱの私に、上司が膝ついちゃダメでしょ!?営業相手になめられる!!

「いえ。遅かれ早かれ知られたはずです。エリゴス様は毅然としていて下さい」

「ん?ああ」

 私の言葉に頷いたエリゴスさんより早く、王様とディーバさんとソルゴスさんを除く、フォレスト組も立ち上がり円陣を組んだ。

「それより、これでは会議どころの話ではありませんね」

「ですねぇ。オーシャン王族、混乱する、の巻、で終わりそう〜」

 アレスさんが言えば、シュリさんが応え、それに皆が頷いた。

「ま、今は仕方ないにしても、明日にはなんとかリセットされてるんじゃない?」

「だと良いが。シュリ、お前は少々投げやりじゃないか?」

「投げやりじゃなく、なるようにしかならないんですぅ」

 気心が知れているらしいシュリさんとエリゴスさんの会話は放っておけば、いつまでも続いていきそうだ。

「あ。一応纏まったようですよ?私達も」

 アレスさんの言葉に頷いた私達も席に着き、オーシャン組が座るのを待った。全員が着席すると同時にフリストさんが口を開いた。

「飛竜達も普段はリオ様と居る為に比較的大人しいのですが、引き離されそうになったり、始祖様が感情を害するような時は、それはもう容赦なく力の限り暴れまくるのです。もっとも、それらはすべて伝承ですが、我等はそれを信じております」

 つまり、信じざるを得ない何かはあるということか。近寄れば威嚇攻撃してくるものには言われなくても触れないし、禁忌とされているなら実行にも移さないだろう。

「失礼だが、始祖様と同等であるはずの飛竜達に敬称をつけないのには何か理由が?」

 小さく胸元に手を挙げて王様が問うと、フリストさんが「うんうん」と頷いてみせた。

「儂らが飛竜達に敬称をつけないのは、以前、恐れ多いと様呼びした者が攻撃されたそうで、以来、決してしてはならぬと伝えられております」

 うわ〜。カプカプされちゃったんだ〜。無事だったのかな?あ、カプカプじゃなく、飴玉みたいにしゃぶられたのかな?その場で召されてなければそれで良いけど。


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