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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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二国会議 初日 5

 アワアワしている間に気を取り直したらしいフリストさんが、私に視線を寄越した。若干、頬が紅潮している。

「失礼ですが、ミーナ殿は飛竜に威嚇(いかく)されたりはしていないのですか?」

 フリストさんの言葉にようやく手を離してくれたが、アレスさんから送られてくるきらきらビームは変わらない。ふと気付けば、シュリさんからも熱い視線を注がれていた。

 威嚇?イールとイースから?

「はい。威嚇などとんでもない。イール様もイース様も大変、紳士的に接して下さいました。この場を借りて、お礼申し上げます」

 アレスさんとシュリさんからのキラキラビームをあえて無視して頭を下げれば、どぉっと場がざわめいて、オーシャン組が収拾がつかないほどに慌て出した。

 あ。シェリスさんがフリストさんの近くに……って他の人も!?

 王族の方々なのだから、マナーは嫌というほど叩き込まれているだろうに、今、彼等はフリストさんの下に我も我もと集まり、何事かを口にしていた。小さいわけでもない彼等の言葉が聞き取れないのは、全員が一斉にフリストさんに話しかけているからだ。

 あ〜。私、やっちゃったんだね〜。なんかのフラグは建てたかもしれないけど、デスフラグっぽくは無いよね?

 どうしたものかと周囲を見渡せば、フォレスト組の皆さんは、視線をオーシャン組と私に行ったり来たりさせていた。皆さんは、声にこそ出さないが、視線が「どういう事か説明して」と雄弁に語っていた。とは言うものの、私にもさっぱり分からないので、緩く首を左右に振った。いや、エリゴスさんの言葉とフォレスト組の反応から導き出した一応の予想としては、「狂暴とすら言える気高き飛竜達に、威嚇される事無く受け入れられ、その上、オーシャン国民ではないにも関わらず、背中に乗ることを許された」のが、問題になっているのだろうとは思うが、「それの何が問題なのか?」という問いに応える知識は私は持っていない。

 現実逃避とわかっていても、キテレツな行動や発言をしてしまいたくなる。今、この場でラジオ体操第二の、別名ゴリラ体操を披露しても、フォレスト組からの視線は貰えても、オーシャン組からはなんのリアクションも貰えないに違いない。

 まぁ、やったとしても恥ずかしいばかりで気は晴れないだろうし、事後で自己嫌悪に陥りそうだからやらないが。どうでもよいバカな事ばかり考えが浮かぶあたり、我ながら、ずいぶんと混乱しているなと感じる。

 私も含め、置いてきぼりのフォレスト組の出来る事と言えば、目の前のお茶で喉を(うるお)すくらいだ。

「黙らっしゃい!!」

 フリストさんのものと思われる、凛とした一喝にオーシャン組、フォレスト組、関わらず、ビシッと皆が姿勢を正した。

「えぇいっ!!揃いも揃って、子供のようにピーピーと!!お前たちにオーシャンの王族としての矜持は無いのか!?」

 激高極まりといったフリストさんは、直立不動のオーシャン組を叱りつけた。

「儂ゃぁ、情けなくて仕方ないぞ!!もしもまだ、オーシャン王族としての矜持があるなら、場を乱した謝罪をせんか!!」

 おそらく地の話し方なのだろうが、なんだか、古きよき時代の頑固爺ちゃんといった感じでフリストさんには「(わし)」という一人称が物凄く似合う。

「「申し訳ありません!!」」

 ガバッと音がしそうな勢いでオーシャン組は九十度の礼をした。

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