二国会議 初日 4
アルファポリス様主催のファンタジー大賞に参加しました。お気にめしたら、投票お願いしますm(_ _)m
声を上げた男性はフリストさんとも爬虫類さんとも違う、二十代後半くらいの深い緑色の髪と瞳の人だった。オーシャンの方々の髪の色は、ゲームやアニメのキャラクターのように、「あり得ない」と言いたくなる色鮮やかな物をもつ人もちらほら目にする。寒色系ではあるが、青に緑に青と灰を混ぜたようなものなど様々だ。フォレストでは明るさに差はあれども茶色か黒い髪の人が多く感じていただけに少し驚く。
「失礼しました。私、オーシャンのシェリスと申します。あの、これは好奇心なのですが、背中に乗ることを許されたとエリゴス殿はおっしゃいましたが、本当でしょうか?」
シェリスさんの疑問にフォレストもオーシャンも関係無く、視線が私に集中した。シェリスさんの表情からは純粋に知りたいと言う好奇心以外の色は読めない。彼も又、エリゴスさんのように、腹芸が出来ないタイプなのだろうか?もし、感情を封じ込めているのであれば、とんでもない演技派だ。こちらも腹を読ませないよう、感情的にならないように細心の注意を払わなければならない。
まぁ、彼の思いは当然の疑問だろうし、逆に「うちの始祖様を強請ったんじゃないだろうな!?」と思われていても仕方ない。下手に取り繕うよりはと事実を話す。
「はい。アルゴス様とマルケス様と共に乗せてくれるとイール様とイース様よりお言葉いただきました」
シェリスさんも「飛竜」と呼んでいたし、当事者たるイールとイースに「さんはいらない」と言われていたが、オーシャンで彼等がどのような立場でいるのかが分からない以上、軽々しい言動は控えた方が得策だろう。飛竜兄弟にも「様」をつけておいて怒られはしないと思う。
「本当のお話しなんですねぇ」
シェリスさんの感嘆に被さるように、オーシャン組からは「まさか!?」とか「他国民に飛竜が搭乗を許しただと!?」とか、コショコショと驚きと困惑の囁きが聞こえた。
「彼等の名前は、リオ様より伺ったのですか?」
「はい。初めの自己紹介ではそうですが、イール様とイース様に、アルゴス様とマルケス様と私に対して、自らお伺いました」
フリストさんの疑問に答えると、オーシャン組は完全に固まった。
あれ?もしかしてやっちゃった?
リアルなマネキンよろしく、ピクリとも動かなくなったオーシャン組に焦りながら、王様に視線を流せば、「俺も困ってる」とばかりに軽く肩をすくめられた。
正直、自分の発言の何が彼等にそこまでの衝撃を与えたのかが分からない。だが、現実にこうして固まっているのを見ると、よほどの事だったのだと推察出来る。いっそ、誤魔化した方が良かったのでは?とも思ったがリオさんに聞けばすぐにわかるのだから、意味が無いかと思い直す。場合によっては大きな波紋を呼びかねない。やはり、真実を口にして良かったのだと自分自身に言い聞かせる。
呼吸はしているようだが、どうしたものかと思案していると、隣のアレスさんがいきなり手をキュッと握りしめてきた。
なにごと〜!?
戸惑う私を尻目に、アレスさんは、子供たちのようにキラキラと瞳を輝かせている。
なに!?なんで!?意味わかんない〜!?