ちびもふブラザーズ!! 6
頑張った!!俺たちは頑張って、秘密兵器を作り上げた!!物凄く臭いコレで、カブトムシが来なかったら、泣いちゃうぞ!!……マルケスが。いや、俺もちょぴっと泣くかも。
「出来たものは高い樹に塗るんだと」
きっちり蓋をした秘密兵器を振りながら言ったじーじの言葉に俺たちは考える。
「高い樹、か〜」
「皆は大人で忙しいから、あんまり遠くない方が良いよね〜」
「そうだよな。マルケス、偉い!!」
俺は皆が一緒にカブトムシ採りに付き合ってくれることが嬉しくて、それしか考えてなかったけど、マルケスは違った。皆のこともちゃんと考えてて、凄い!!
「え!?なになに?なにが偉いの?」
「皆の事、考えてたじゃん。だから!!」
俺の言葉にびっくりしてるマルケスに言うと、目ん玉が飛び出そうにしてた。
「「グールル、グルルァ」」
「マルケス、考える、大人、言った」
「えへへ」
イールとイースにも褒められて、ちょっぴり照れくさそうに、でも、嬉しそうにマルケスが笑った。マルケスが笑うと俺も嬉しくて、一緒にニコニコしてた。
「「グルルァ」」
「カブトムシ、好き、樹、ある、言った」
そんな俺たちに、イールとイースがびっくりな事を言った。
「「本当!?」」
秘密兵器をそんな樹に塗ったら、カブトムシいっぱいなんじゃないか!?
「「グルルー、グルルァ」」
「本当、知ってる、ちびもふ、乗る、教える、言った」
「「わ〜。良いの〜!?」」
イールとイースは良いお兄ちゃんだ!!俺たちの事を考えて、ママみたいに悪いのはダメ、良いのは凄いねってしてくれるかっこいいお兄ちゃんたちだ。俺もイールやイースみたいにかっこいいお兄ちゃんになれるかな?マルケスはなれそうだけど。
「あ!!でも、ママが居ないぞ」
「うん。ママと一緒じゃないと、ママ、泣いちゃうよ」
イールとイースが、「ママとちびもふブラザーズを乗せて飛んであげる」って言ってくれた時、ママは凄く嬉しそうに笑ってた。そんなママを置いてきぼりにしちゃったら、俺たちの前では泣かなくても、後で泣いちゃいそうだと、マルケスとどうしようって考える。
「「グルァ〜」」
「ちびもふ、美人、いつでも、乗せる、言った」
「「ありがとう〜!!」」
これでママも泣いちゃわないなって、嬉しくなった俺たちは鼻先に抱きついた。あ!!
「「じーじは?」」
「「グル、グルルァー」」
「じーじ、走る、男、がんばれ、言った」
「俺は頑張って走んのかよ」
「「がんばれ!!じーじ〜!!」」
俺たちの応援に、じーじはでっかいため息を吐いていた。変なの!!
俺たちがイールたちの背中に乗って、城の中庭の、カブトムシが好きな樹の所にピョンッて跳んできてもらって、ちょっとしてからじーじは狼になって走ってきた。
イールとイースの尻尾を立ったままでどこまで歩いて行けるか?をしていた俺たちは全然退屈しなかった。どうがんばっても、尻までたどり着けないのは悔しいけど、楽しかったから良いや!!
「「じーじ!!」」
「順番な」
「マルケス、どれ?」
「どれが良いかな〜?」
「俺たちを抱っこしてくれ」と万歳すると、苦笑いしながらじーじが俺を、リオ兄がマルケスを抱っこしてくれた。イールとイースが「俺たちの頭に乗れ」って言ってくれたけど、あんまり高いから、明日、届かなくなっても困るよなって事で「ありがとう」はしたけど、乗っけてもらわなかった。
「これが良い!!」って決めた樹に秘密兵器を塗ったから、後は明日早起きするだけだ。いっぱい来ると良いな〜。いっぱいカブトムシ来たら、ママにも皆にもあげるんだ!!二匹だけなら、皆にお願いして、俺たちが貰おうと思う。