ちびもふブラザーズ!! 5
「「グルルァ、グル、グルルァ?」」
「わかった、アルゴス、変わった、教える、言った」
「お?」
わかれば良いんだ。わかれば。俺たちの変わったとこをイールとイースに教えれば良いんだよな?
イールとイースに言われて、考えたけど……
「イール、イース、怒ってごめん。俺もわかんなかった」
あんなに怒ってて、俺たちの事なのにわかんないなんて、恥ずかしくなって下を向いた。
「「グルルァルァ、グル、グルルァ」」
「俺たち、わかった、アルゴス、認める、謝る、出来る、大人、言った」
前にママが言ってた「出来ない事がわかるのもお勉強」ってのをイールとイースはわかってくれて、「謝る事が出来るから大人になってる」って言われたら、嬉しくて嬉しくて、イールに抱き付いていっぱい気持ちをこめてスリスリした。
ちょっぴり涙が出たのはナイショだ!!
涙が完全に引っ込んでから、イールに「ありがとう」して、離れた。
「リオ兄も一緒に秘密兵器作ろ!!」
「カブトムシを採る為のなんだよ〜」
俺の提案にマルケスも嬉しそうに笑ってリオ兄に言うと、コクンって頷いてくれた。
「これを全部混ぜて、昼間の内に樹に塗るんだと」
「「お〜」」
じーじが持ってた袋の中から瓶を何個か取り出して、お姉ちゃんが持ってきてくれたテーブルに並べて行く。ワクワクしながら見ている俺たちの前で、じーじが瓶を開けてくれたとたん、ワクワクはぶっ飛んでった。
「クサッ!!なんじゃこりゃ!?」
「臭いよ〜。本当にカブトムシ、こんなに臭いのに来るの〜!?逃げちゃうよ〜」
強烈な臭いに、俺は秘密兵器の材料をぶん投げたくなるし、マルケスは鼻を必死に押さえて半泣きだ。ランティスもマンティスも意地悪してないと思うけど、これはあんまり過ぎる!!
「来る」
「「え!?」」
リオ兄の静かな声に俺たちはバッて見た。
「本当か!?」
「リオ兄、これ臭いよ?」
「本当、匂い、カブトムシ、好き、ヒト、違う」
俺とマルケスでも好きな食べ物が違うように、カブトムシと俺たちとじゃ、好きどころか食べるものも違うってことか。
リオ兄の力強い言葉に勇気をもらった俺たちは顔を見合わせて、「うん!!」って頷くと、秘密兵器を作りにかかった。
臭いけど!!カブトムシの為だ!!頑張るぞ〜!!
「アルゴス、マルケス、使う、動くな」
リオ兄に言われて動かないでいると、俺たちの鼻と口をハンカチで隠すように後ろで結んでくれた。
「「リオ兄、ありがとうございます!!」」
「がんばれ」
「「はい!!」」
うん。リオ兄が隠してくれたせいで、物凄く臭い。から、臭いけど我慢出来る。に変わった。
「頑張ろうな!!マルケス」
「うん!!頑張ろうね!!アルゴス」
二人で「くふふ」って笑ってると、じーじに頭をくしゃってされた。
「あ、ちびたちは嘗めんなよ?それ、酒もあるし」
「「要らない!!」」
じーじめ!!俺たちはそんなに食いしん坊じゃないぞ!?多分。ハチミツは嘗めたいけど、酒は要らんっ!!カブトムシはお酒が飲めるなら、俺たちよりオトナなのか!?わかんね〜!!