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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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使者団との昼食会 6

 食事は終わり、食後のお茶とデザートを楽しみながら歓談しましょうとの事で出されたケーキに子供たちは目を輝かせた。ちびもふブラザーズはケーキを食べたら退場だが、私たちはそのまま会議に突入らしい。

「けーちだ!!」

「でも、四角いね〜。お月さまでもニンジンでもないみたい」

「ほんとだな。でも、カッコいいな!!」

「牛さんのお(うち)みたいだね〜?中にだれかが入ってるよ?」

 キラキラお目々で「ケーキみたいだけどなんだろう?」とコショコショと相談しているちびもふブラザーズを優しく見つめたディーバさんが口を開く。

「卵とバターと砂糖を泡立てた中に小麦粉とクルミを入れて焼き上げた、胡桃(くるみ)のパウンドケーキとなります。果物がよろしい場合は声をかけて下されば、すぐに交換致します」

「「クルミ!!」」

 目を真ん丸にして小さく叫んだちびもふブラザーズは、お互いの顔を見合わせてへらりと笑った。

「早く食べたい〜」

「だれかさんはクルミなんだね〜」

「クルミのケーキも食べ過ぎると、おデブになるのか?」

 小首を傾げるアルゴス君の疑問にディーバさんが頷く。

「はい。簡単に太ります」

「「あ〜」」

 さらりと断言されて、ちびもふブラザーズは心底残念そうな声を出した。だが、妙案が浮かんだのか、アルゴス君が「ふふっ」と笑った後で真剣な表情を作った。

「でも、けーち要らないって誰か言ったら、それ俺たち、食べれないかな?残すのもったいないしな」

「もったいないを食べたらおデブにならないかも?」

 アルゴス君の意思を正確に理解したらしいマルケス君も「ぅふふ」と笑いながら続いた。だが……

「なります。太ります」

「「あ〜」」

 冷静に間髪入れずにピシャリと言うディーバさんに、良い考えをつぶされてしまったちびもふブラザーズは残念そうに項垂(うなだ)れた。

「仕方ないから、これだけでいっか」

「残念だね〜」

「「あ〜ん」」

 しょんぼりしつつ開いた子供たちのお口にケーキを入れてあげれば、すぐに気分が高揚し、嬉しそうに笑ってくれたのが救いだった。

 子供たちが食べ終わるとすぐにアレスさんが「一言よろしいでしょうか?」と口火を切った。

「たまに勘違いして寄ってくる方がいらっしゃるのですが、私は害虫駆除が得意でございます。皆様、紳士な方ばかりとお見受けいたしますので、余計な事と思いましたが、フォレストのアレスは自意識過剰であったと留め置いて下されば助かります」

 アレスさんの言葉に使者団の方々は、気まずそうに体を揺らしたり、顔色を青くしたり赤くしたりしている。それはそうだろう。「宣告したのにトチ狂って襲って来たらただじゃおかないぞ」と、笑顔で美人さんに釘を刺されたら、助平心を抱いている人間にしてみたらたまったものではないだろう。

 や〜。私は逆にアレスさんが美人過ぎて襲えないな〜。

「「害虫駆除ってなに?」」

「お野菜とかをかじって食べちゃったり、枯らしてしまう虫を害虫って呼ぶの。駆除って言うのはそんな悪い虫をやっつけちゃうことだよ」

「「お〜。アレス、すごいな〜」」

 言葉通りに受け取ったアルゴス君とマルケス君は、アレスさんを尊敬の眼差しで見つめている。

「「やっつけちゃ駄目だけど、カブトムシも採ってくれるかな?」」

 期待に満ちた瞳で囁いてくるちびもふブラザーズに「後で聞いてみようね」と返すと、嬉しそうに頷いてくれた。

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