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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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使者団との昼食会 5

 美味しそうに食べる大人たちを見てちびもふブラザーズは自分たちも楽しくなったのか、ずっとしっぽが機嫌良く振られている。柔らかく笑顔を浮かべたディーバさんが口を開く。

「通常のサラダの隣にあるのはポテトサラダと言いまして、茹でたジャガイモを少し形が残るくらいに潰して、野菜と茹でてほぐした魚を入れて、卵と油と酢で作ったマヨネーズソースで和えた物になります。通常のサラダはマヨネーズか塩、お好きな物でお召し上がりください」

 ディーバさんの説明にアルゴス君とマルケス君が続いた。

「俺たちはマヨがオススメ!」

「なめたくなるけど、あんまりなめるとおデブになるんだって」

 子供たちの言葉に頷く使者団の方々はもう躊躇(ためら)いなく紹介されたサラダを口に運び、興奮しながらも笑顔を絶やさない。本当はハムかツナを入れたかったが無かったので、鮭を茹でてポテトサラダに使っている。味見したが、ピンク色で彩りとしても良く、嫌なクセも無く、これはこれでアリだと感じた。

 ちょっとづつ子供たちのお口にポテトサラダを入れていると、急にアルゴス君が口を開けなくなった。美味しくなかったのだろうかと不安になってしまう。

「サラダ挟んだら、さんでっちになるかな?ママ、この白いのパンに挟んでちょうだい」

 ムムと考えこんでいたアルゴス君がおねだりしてくる。ポテトサラダを挟んだサンドイッチはポピュラーなものだと教えなくても美味しい食べ方を発見していくちびもふブラザーズに舌を巻くと同時に、不味いわけではないらしいとほっと安心する。

「アルゴス、それ、素敵だね〜。美味しいよ!絶対」

 アルゴス君の提案にマルケス君が激しく首を縦に振る。あまりにも勢いがよすぎて目眩を感じないかとハラハラしてしまう。

「ちょっと待っててね〜」

 アルゴス君のリクエストに応える為に、パンにナイフを入れているとそわそわしたちびもふブラザーズの尻尾がお腹に勢い良く当たる。

「う〜。待ちきれない!」

「アルゴス、パンもサラダもあんよ無いから逃げないよ〜」

 とうとう立ったり座ったりを繰り返し始めたアルゴス君に、「ママのお膝が痛くなっちゃうよ?」と続けながらマルケス君が諫めるが、彼が聞き入れる様子は無い。

「や!!ママが作ってくれたさんでっちを美味しそうって誰かが持ってっちゃうかも」

「ん〜。みんな大人だから、そんなことしないよ〜」

 アルゴス君の不安に、「さすがにそれは無い」と口を挟もうとしたが、使者団の方々の中に気まずそうに視線を外したり赤面している人物を見て頭が痛くなった。そんな行動をとるのはズバリ、アルゴス君の言葉が図星だったからに他ならない。

 子供の食べ物奪うなよ〜。まだしてないけど、考える?普通。

「そぅかな〜」

 納得しきれていないアルゴス君に苦笑いをこぼしつつ、口を開く。

「はい。お待たせ」

「待ってた!!」

「サンドイッチになってるね〜」

 目をキラキラさせているのは変わらないが、アルゴス君は興奮のあまりお尻ジャンプした事に対して、マルケス君はただただ感動しているようだ。

「「あ〜ん」」

「サンドイッチとはパンに色々な具材を挟んだ食べ物になります。汁気の多い物を挟むと不味くなるので、挟む具材には注意が必要です」

 「もっともっと」と咀嚼したらすぐに次を要求してくるちびもふブラザーズの口にせっせとサラダサンドを運ぶ私を尻目に、ディーバさんが使者団の方々にサンドイッチの説明している。

「話を伺う上でサンドイッチは種類が多いようなのだが……」

「はい。皆様の滞在中に披露(ひろう)致します」

「「やった〜!!」」

 ディーバさんと使者さんのやり取りに歓声を上げたちびもふブラザーズは、自分たちに視線が集中している事に気付くと、「大声を出してごめんなさい」と恥ずかしそうに頭を下げた。

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