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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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使者団との昼食会 4

 笑いで場が和やかになると、子供たちの興味はポタージュへと移った。じーっと見つめていたちびもふブラザーズがペロリと自分の鼻を舐めてから首を(かし)げる。

「ミネと違うけど、これなんだ?」

「オレンジ色だけど、このスープ、なあに?にんじん?」

 せっかく私が危害を加えられないように配慮してくれているのに、皆の知らない食べ方を教えてしまった後だけにとぼけるのは今さらな気もしたが、だからと言ってぶっちゃけるのもいかがなものかと口を開く。

「なんだろね〜?聞いてみよっか」

「「はい。ディーバ、これ、なぁに?」」

 可愛っ!!可愛い〜!!可愛い過ぎる〜!!

某電化製品会社のマスコットのように、小首を傾げたちびもふブラザーズに身悶えしそうになる。しかもあのマスコット犬は一匹だったが、こちらは二倍のちびもふブラザーズだ。可愛いゲージも極限突破だ。

 思考がおかしな方向に進んでいるのを自覚した時、ディーバさんがニコリと微笑んだ。

「はい。それは茹でたカボチャを潰してから、通常のスープと牛乳を加えたパンプキンポタージュと言うものです」

「「教えてくれてありがとう」」

 頭を下げたちびもふブラザーズにディーバさんが目を見張り、何かを言いかけたが、小さく頷いてから俯いた。

 これはあれだね。口を開けば感情が溢れそうだったんだね。

「ち、ちなみに、先ほどアルゴス様が口にされたミネとは、小さく切った野菜をトマトと通常のスープで煮込んだ、トマトの酸味がふわりと香るミネストローネという爽やかなスープです」

 気持ちを落ち着けようとしたのか、オーシャンの皆様に説明したディーバさんに、使者団の一人がおずおずと右手を挙げた。

「そのミネストローネとかいうスープも飲めるだろうか?」

「はい。昼食では出ませんが、晩餐に出す予定です」

「ありがとう」

ほっとしたように頷いた使者団の方にアルゴス君が笑いかける。

「ミネ、野菜いっぱいだけど美味しいぞ」

「コロコロ野菜が可愛いよ〜」

 ニコニコと笑いながら続けるマルケス君に、使者団の方々は相好を崩しながらも、あちらこちらで「どんな味なのだろうか?」と囁きあい、期待に胸を膨らませているようだ。

「これ、かぼちゃか〜」

 どうやらあまりカボチャが得意では無いらしいアルゴス君が器用に眉間に皺を寄せている。くんくんタイムに一人突入していたマルケス君がちょっぴり心配そうにアルゴス君を見てから私を見上げてきた。

「ね〜、ママ?これもパンはごっくんしたら美味しいかなぁ?」

「ママ!」

 マルケス君の疑問に我が意を得たりとばかりにパッと顔を輝かせたアルゴス君が小さく叫んだ。キラキラお目々になったちびもふブラザーズは「早く早く」とお尻をもぞもぞ動かして催促してくる。

「はい。どうぞ」

火傷しないようにフーフーしてからアルゴス君とマルケス君のお口にポタージュを飲んだパンを入れると神妙な表情をしながら飲み込んだ。

「「ん〜!!」」

「マルケス、ありがとうっ。すっごい旨い」

 美味しいお顔をした後でアルゴス君は喜びを表したかったのか、マルケス君の首をカプカプと甘噛みしている。人の姿だったら抱きしめていたと思う。

「本当だね〜?メロメロになっちゃうね〜」

「めろめろすぎて、俺、溶けちゃいそ〜」

「本当だね〜。ちょっぴり甘いしトロンッてしてるし可愛いし」

 ニコニコ笑顔のちびもふブラザーズは自分たちに視線が集中している事に気付くと口を開いた。

「「カボチャもパンに飲ませると美味しいよ」」

 大人たちが彼等の言葉に従って、どこかワクワクした面持ちでポタージュをパンに吸わせて口に運んだ事は言うまでもない。



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