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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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森の賢者 5

 内容からみるに、ママが欲しい理由を二人は誰にも言わなかったようだ。どうする?とばかりに顔を見合わせた後、「怒らないでね?」と前置きした二人は口を開いた。

「ちょこっと前にリズがママになっただろ?」

「サーシャが羨ましかったの」

「サーシャ!?」

 二人の告白を聞いた王様とディーバさんは頭を抱え、ソルゴスさんは呆気にとられている。言わずもがなで始祖様は爆笑している。

「サーシャ!?サーシャにヤキモチッ!!」

「じーじっ!!笑うなぁ〜っ!!」

「笑わないでよ〜!!」

 腹を抱えて涙まで浮かべて爆笑する始祖様に子供達は抗議の声を上げている。二人の希望通り、怒られはしなかったが、予想外だったであろう笑われるという事態にアルゴス君はわざわざ始祖様の下へ行き、ポカポカと叩いている。リズさんとサーシャさんなる方々を知らない私は黙って見守るしかない。それにしても、ここまで様々なリアクションを受けるサーシャさんとは何者なのだろうか?

「サーシャさんとはどなたなのでしょうか?」

 質問した私に苦虫を噛み潰したような表情の王様が答えてくれる。

「サーシャとリズは、乗用の竜だ」

「竜!?」

 竜にヤキモチを妬いて、ママを探しに!?禁断の儀式を行なった理由が竜!?

 命懸けの儀式の理由がそれでは王様達が脱力するわけだ。ペットにヤキモチを妬いて紛争中の警戒区域へと海外旅行に出掛けてしまうような物かと想像する。

「ああ。リズが産んだ娘の名前がサーシャだ」

「・・・・竜・・・・」

 通常、人は長距離の移動手段として馬を使うそうなのだが、本性が草食動物であろうと肉食動物であろうと獣人に対しては馬が怯えてしまう為、獣人が暮らす王宮では自分達に怯えない竜を飼っているという。

 様々在るという竜を特性から大きく分け、空を自由に飛ぶ飛竜、水中を素早く泳ぐ水竜、脚の速い翔竜、硬い岩盤も軽々と掘り進む掘竜。その大きさから、大型、中型、小型。

 移動用として活躍する翔竜の中でも単独乗用に小型竜、多頭引きとして活用する中型竜。小型竜を見た事が無いと言われる飛竜は大型竜であるが故に木材や石材等の荷物を運搬に活用。水竜の中でも小型竜は追い込み漁や定置網漁に大活躍すると漁師の間で人気で、大型竜は商船や観光船の動力として活用。堀竜の中型竜は悪地を開拓する際に牛の代わりとして活用し、大型竜はトンネル開通や宝石等の鉱脈を掘削する事に活用するという。因みに、城に居る主な竜は中型小型の翔竜と飛竜で、大事の為に大型の堀竜も数頭確保しているそうだ。

「魔法で移動しないのですか?」

 私の問いにディーバさんと始祖様が答えてくれる。

「魔力をもっている者には可能ですが、魔術を使うには精神力を酷使致しますので行使した後、回復するまでは術者は使い物になりません。ですから、余程の緊急事態が発生しない限りは竜を使用致します」

「ん〜、そうだな。ミーナちゃんはさ、歩いて5分の店に全速力で走って行って、息をゼハゼハ言わせて汗ぶったらしながら買い物楽しめるか?そんなんなるってわかってたら、大人しく歩かね?」

 確かに。他に手段があるのに、恐ろしく疲れるとわかっている方法は選ばない。

「ありがとうございます。説明が大変解りやすかったです」

 頭を下げる私に「お礼はチュー希望〜」と頬っぺたをちょんちょんと叩く始祖様に、アルゴス君が代わりにブチュッとかましてくれた。

「はい!!お礼!!」

 グッジョブ!!アルゴス君!!

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