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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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使者団との昼食会 1

 自己紹介などは、昼食が終わってからとのことで、使者団の方々とこちらのメンバー皆が揃った所で会食会が始まった。

 フォレストだけなのか、三国共通なのかはわからないが、こちらの食事形式は一品ごとに運ばれるものでは無く、デザートとお茶は最後に出されるが、どちらかというと日本の家庭でそうであるようにパンもスープもサラダもメイン料理も一気に並べられる。気に入った料理があればお代わりも頼めるが、「絶対に食べ切れる量にすること」と言うのが暗黙の了解事項らしい。

「なんじゃこりゃ!?」

 アルゴス君の叫びは、私以外の人間の疑問でもあったと思う。パンはともかくとして、他の料理はこの世界の人間は見たことが無い物ばかりなはずだからだ。特にメイン料理は、「何かに包まれた俵形の物体」だ。

「「お行儀悪くてごめんなさい」」

 私のお膝に居るちびもふブラザーズは断り、皆が頷くのを確認してからクンクンタイムに突入した。さりげなく様子を伺うと、使者団の皆様も出来るなら子供達の真似をしたいようで、どことなくソワソワしたそぶりでちびもふブラザーズの様子をじっと見ている。

 ちなみに、昼食のメニューはパンとジャム、パンプキンポタージュ、グリーンサラダとポテトサラダ、コンソメで煮込んだロールキャベツ、デザートには胡桃パウンドケーキとなっている。

「匂いは肉だよな?」

「そうだね〜。でも、お野菜でかくれんぼしてるみたいだよ?」

 小首を傾げてちびもふブラザーズが真剣に意見交換しているが、マルケス君の言い回しに思わず笑みを誘われた。

「「これなに!?」」

 バッと私を振り仰ぐ子供達に答えたのは、ディーバさんだ。昼食会に限らず、使者団が滞在中は「異世界の料理で持て成そう」と、決まっていたらしく、昨夜、子供達の寝てしまった後に抜け出した私に、ディーバさんや厨房の皆さんに頭を下げられた。その際に、「珍しい料理だからこそ、相手に与える情報は少ない方が良い」と纏まり、料理の説明はディーバさんがすることになった。真実は伏せ、事実だけを適度に伝えるのは勿論だ。相手への情報は少なく、こちらがより良い質の情報を得る方が政治的には色々と好ましい。

「肉を細かくした物に野菜等を入れて混ぜ合わせ、キャベツで包み、スープで煮た、ロールキャベツと言います。ただ今、我が国では新しい料理を製作でありまして、皆様には驚かれるかとも思いましたが、先ずは一口どうぞ。お口に合わない場合はすぐに代えの料理を出します」

 ニコリと微笑んだディーバさんに、皆さんは料理を見つめながら、頷いたり、唸ったりしていた。

「あ。大きな声を出してごめんなさい」

 ペコンとアルゴス君が頭を下げるとマルケス君も続いた。こちらが教えていないのに、なんだか今日のちびもふブラザーズはちょっぴり礼儀正しい。そんな子供達を使者団の皆様が目を丸くして見ているのは、以前が物凄いマナー違反をしたか、傍若無人なちびっこモンスターだったか、あるいは両方だったのか……、考えるだけで頭が痛くなる。

 たったこれだけで感心される王族って、子供とはいえ、ありえないでしょ!?

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