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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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ちびもふブラザーズ 2

「おい。俺に紹介はしてくれね〜の?」

 じーじが苦笑いを浮かべて、腕の中の俺達を軽く揺すった。嬉しかったり楽しかったりのニコニコと違う、なんだかちょっと笑ってないそれは「苦笑い」って言うって、ママが前に教えてくれた。

「「あ!!」」

 ポロリと落ちた言葉と一緒に、俺達はじーじの腕から飛び降りて、リオ兄の所に走った。

 そうだった!!じーじをリオ兄達に、リオ兄達をじーじに教えてあげるんだった。

 リオ兄の後ろに隠れて、ちょぴっと顔を出す。

「俺達、忘れてないぞ?」

「そう!!みんな一緒だから」

「わけわかんね〜」

 俺達の言葉に、じーじは空を見た後でしゃがみ込んだ。だけど、なにが「わかんね〜」のか、俺達が「わかんね〜」だ。

「なにが?みんな一緒で楽しいなって事だろ?」

「うん!!リオ兄もイールもイースもじーじも居て、楽しくて嬉しいねってことだよ〜」

「それで忘れてたってか」

 また苦笑いするじーじに返事する。

「「うん!!」」

 頷いたとたん、「はぁ〜」ってでっかいため息を吐いたじーじに俺達は「あ」って顔を見合わせた。

「「今の無し!!」」

 叫んだ俺達に近づいて来たじーじは、「なんか言ってたのか?ま、紹介はしろよ?」と笑って俺達の頭をくしゃくしゃって撫でてくれた。俺達の「今の無し」を聞いてくれたみたいだ。

 よし!!がんばるぞ〜!!

 マルケスも一緒だったみたいでフンフンと鼻息が荒い。俺達はリオ兄の後ろから出て、口を開いた。紹介する為にも、じーじとリオ兄の間に立つ。

「あのな?じーじ、リオ兄は人間なのに、飛竜のイールとイースの兄弟なんだ」

「凄いよね〜。赤い飛竜がイールで、青い飛竜がイースなんだよ」

 俺達の説明にうんうん頷いて聞いていたじーじは、リオ兄を見て、ニヤッて笑った。

「人間、ねぇ〜」

 (あご)をサスサスしながら言うじーじの顔はとっても悪い。なんか良くない事を考えてるみたいだ。

「なんだよ。じーじ、カンジ悪い」

「そうだよ!!じーじ、謝って!!」

 俺が言えば、マルケスも続いた。やっぱり、じーじがカンジ悪いってマルケスも思ったんだな。

「ん?おぉ、悪かったな」

「「こらー!!ちゃんと!!ちゃんと謝って!!」」

 全然、悪いと思ってない言い方に、俺達の怒りはちょーてんに達した。ヴォルケーノもびっくりだ。重いっきり叫んだのに、じーじはニヤニヤを止めない。リオ兄の前に立ってるから、俺達にはどんな顔をして、じーじを見ているか解らない。

 泣いてないよな?

 大人だから大丈夫だとは思ったけど、じーじのわからんちんぶりに泣いているかもしれないと、ちょっぴりドキドキしながらマルケスとリオ兄を振り返ってみる。

 良かった。泣いてない。 ホッとしている俺達に、じーじの暢気な声が降ってきた。

「なんだよ?いーじゃねーか」

「良くないだろ!!子供な俺達でもわかるんだぞ!!」

 ニヤニヤするじーじがわからんちん過ぎて、もう、ムカついてムカついて仕方なくて、尻尾が勝手にピンッてなる。隣りを見ると、マルケスも地面に脚を踏ん張って、尻尾ピンッてしてるし、「グルル」ってイール達みたいに唸ってる。

「ちゃんとごめんなさいしないと、ママのお料理あげないよ!!」

 マルケスの叫びに、とうとうじーじはニヤニヤを止めて、リオ兄に「ごめんなさい」をした。気にしてないみたいに小さく頷いたリオ兄はオトナだ。俺なら噛み付いてやんないと許してやんないのに。

 カッコイイ!!

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