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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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新たな官僚 4

「言い出した私が破る形になりますが、忠告させて下さい。ミーナ、新しい料理を生み出した貴女は、幸福を教えると同時に独占欲を抱かせる存在となっています」

「え?」

「ですから、城内、城外問わず、行動する時は必ず顔見知りの成人男性を側に置いて下さい。アルゴス様とマルケス様は幼く、何かあった時に貴女を守れないどころか、逆に従わせる脅しの材料となりかねません」

 ディーバさんが何も考えずに言うわけがないが、唐突すぎる忠告に思考が止まる。けれども、呆然としている暇は無い。彼の言葉に潜む理由と意味を客観的に考えて、そこから対策を速やかに練らなければなるまい。

 一人で行動させたくないのは誰か?又、どんな人間か?かんたんだ。宝足りうる何かを持っている者。貴金属や絵画、人間そのものならば、特出した頭脳や技能の持ち主は、だからこそ、それを持たず、欲する者に狙われる。宝石や絵画などを今の私は持っていないから、能力者個人が狙われた場合を考えていこう。

 狙われる理由は、数あれども、ぶっちゃけ、有能者から生み出される何かを待つより、大元の当人を手元に置いて、指示を与えた方が利益を得やすいから誘拐する。個人から狙われるのは自分が成り代わり、名声を得たいからとかの比較的小さな欲求だが、権力者からのものは違う。まあ、自由を奪われ、自分自身が死ぬまで、彼等の望みを聞かなければならないのは同じだろうが。

 権力者と言うのは、文字の通り、多かれ少なかれ、力を発揮する相手が居ると言う事だ。個人ではなく、組織、あるいは数多くのそれを何個も抱えている可能性もある。コレクター心理で自分の手元に置いておきたいと拐われるなら、大切にされる可能性もあるが、見込まれる利益の為だとしたら末路は悲惨だ。その頭脳や技能を、権力者の望むままに出さなければならない上、余計な事をさせない、言わせない為に始終監視がつき、外部とも遮断される。一生涯、篭の鳥で居るのだ。狂わずに飼われた方が良いのか、狂って処分された方がマシなのかは分からない。

 これが私の妄想であれば良いのだが、そこまで考えて、口を開いた。

「まさか、私が誘拐される危険があると言うことですか?」

「もちろんです。料理の生みの親というだけでなく、その美貌も素晴らしい。心根(こころね)も美貌と同じく美しいとなれば、ミーナが作り手だと知らずとも手に入れたくなります」

 ディーバさんに間髪入れずに肯定された。よく見ると、場に居る全員が真面目な顔で頷いている。

 篭の鳥は嫌だが、その危険が迫っていると聞かされれば穏やかで居られない。現実逃避と言われかねないが、落ち着く為にも極力、暢気(のんき)な思考へと走る。

 あ〜。誰でも美味しいもの食べると、幸せになるもんね〜。しかもそれが滅多に食べれないならよけいに欲しくなる……って、

「美貌!?」

「「「ミーナ……」」」

 今更ながらにディーバさんの言葉に素っ頓狂(すっとんきょう)な叫びを上げた私に、幾人かの脱力した声が続いた。

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