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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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新たな官僚 3

昼餉(ひるげ)まではまだ時間があります。疑問、質問あるようなら、どうぞ」

 ディーバさんの言葉に、右手を挙げながら、シュリさんが椅子を倒さんばかりに勢い良く立ち上がる。

「はい!!ミーナ様の好みのタイ……うぐ〜!!」

 嬉しそうに話していたシュリさんがいきなり眉をしかめ、まるでパントマイムのように、見えない手に塞がれてしまった自分の口から引き離そうともがきだした。いきなり始まったパフォーマンスに、思わずポカンと見つめてしまう。

「貴女は黙ってなさい。個人への、特にミーナへの質問は受けませんよ」

 あ、ディーバさん?

 どうやら、ディーバさんが魔法でシュリさんの口を塞いでいるようだ。

 ディーバさんには「ミーナ様、申し訳ありませんが、仕事の時は呼び捨てにさせていただきます」と前以て言われている為に、戸惑いは無い。当然の事だと思うし、逆に本気で恐縮している彼に驚いた。

 公私分別は当たり前の事だし、上司が部下を様呼びでは他の皆に眉をしかめられる。そのうえ、上司のディーバさんが部下になめられる可能性が高い。そんなぐだぐたな中で良い仕事が出来るわけがない。それに私が様呼びされる理由もない。正直、アルゴス君とマルケス君に召喚されただけであり、庶民として生活していた私は様付けで呼ばれる事はほとんどなかったため、なにかこそばゆい感じがしていた。このままディーバさんにも呼び捨てされればと思う。

「では、私からよろしいでしょうか?」

 すっと手を挙げたのはアレスさん。ディーバさんが頷くと、彼は口を開いた。

「個人への質問かとも迷いましたので、ダメだと判断されたら御指摘下さい」

 ん?もしかして私が(から)む?

 チラリと寄越された視線は私をとらえているから間違いないだろう。アレスさんからは相変わらず、悪意や敵意は感じない。だから余計に疑問に思う。彼は何を思い、私を気にするのか。

「先日の議題として上がり、満場一致で可決されました国営工場の骨案はミーナがたてたというのは噂でしょうか?」

「いえ。事実です。正確には、工場で作る食品を彼女が生み出しました」

 誰かの「ほう」と言う感嘆の声が聞こえるが、こちらはそんなに話が進んでいた事に驚きを隠せない。

 ちょ!?おじさんとディーバさん達が話し合ってたのって、ホントにこないだでしょ!?一昨日の晩でしょ!?昨日可決されたって言うの!?即決即断過ぎない!?

 一人パニックに陥っていると、シュリさんが声を張り上げた。どうやら、ディーバさんの魔法から逃れる事に成功したらしい。

「クッキーですか!?」

「シュリ。貴女も居たでしょう?聞いていなかったのですか?」

 言外に「居眠りしていたんじゃないでしょうね?」と問うディーバさんに、シュリさんは首をすくめている。

「「ジャムとキャンディーです」」

 ディーバさんとアレスさんの言葉が重なり、驚いたように互いの顔を見合わせていた。気を取り直したように、ディーバさんが続ける。

「施設は製粉所だった物を使います。現在、建物の補修中です。設備の手配に求人の募集も併せて(おこな)っております。公布に間に合わせたいとは思っているのですが、まだわかりません」

 うわ〜。ホントに急ピッチだ。

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