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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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使者団到着 7

「ああ。今回はうちがガラリと顔触れが変わったからな」

「それは、汚職などのダークな理由でしょうか?」

 顔触れがガラリと変わる理由として真っ先に過ぎる嫌な想像を問えば、エリゴスさんは首を左右に(ゆる)く振った。

「いや。どの国も政治に携わる人間は一年に一度試験を受け、水準に達していない者はどんな地位に居ても降格され、逆に高水準な者は取り立てられる」

 ホッと胸を撫で下ろしていると、エリゴスさんに「言うに事欠いてダークな理由とはなんだ」とプリプリ怒られた。そんな彼はフォレストを心から思い、又、不正などは絶対にしないだろうなと感じさせた。

 ふむ。なら、デスフラグを建てまくった時に居た方々には会わなくて済む可能性もあるのかな?いや、だって、結構、気まずいじゃない?罵倒されるならまだしも、クスクスひそひそされ続けるのは、ねぇ?

「そうなんですか。それはやる気と向上心にも繋がりますね」

「ああ。今回は、ミーナが来る二日前に筆記を、来た日までに面接をして、二日後に通達だったようだ」

「お話から、不公平感を生まない為の試験と感じましたが、面接はどなたに?」

「始祖様だ」

 フォレストの事象は漏らさず知っている始祖様ならば、隠し事など皆、出来ないだろうと納得すると同時に、どんな態度で面接に望んだのだろうと脱線気味な方向へ興味が移る。

「始祖様なら不満も不平も生まれませんね」

 袖の下、所謂(いわゆる)賄賂(わいろ)も通用しないだろうと頷いていると、何故かエリゴスさんにきつく睨まれた。

「何を暢気(のんき)な!!下手をしたらミーナは今こうしてほけほけしていられなかったんだぞ!?」

「私!?」

 それはつまり、試験を巡るトラブルに、なんらかの形で巻き込まれる可能性があったのかとエリゴスさんを伺えば、重い溜め息の後に告げられる。

「恥ずべき事なのだがな。一部の人間が、アルゴス様とマルケス様を傀儡(かいらい)とし、自分達が実質の王であろうと画策していたのだ」

「  」

 あまりのインパクトに、思考が停止し、酸欠の金魚のようにはくはくと口を動かした。

「事の重大性がわかったようだな。奴らはばれてないと思っていたようだが、始祖様はお見通しでな。陛下達には告げた上で発表日までは泳がせようとしていたそうだが、アルゴス様とマルケス様が禁断の儀を(おこな)ってしまい、崩れた」

 だから。ここに来て接見した時、ひそひそされたのも、痛いほどの悪意の(こも)った不躾(ぶしつけ)な視線を投げ付けられたのも、画策した者も事情を知る王様達も含めてイレギュラーたる私のせいで予定が大幅に狂ったからだとすれば何もかもが納得出来る。暗黒の血生臭い歴史を踏み兼ねない、子を産める存在だからと言う理由だけではなかった。

「陛下やディーバ達は比較的早くミーナを認めたようだが、奴らは違う。ミーナに向け、暗殺者を放っていたそうだ。発表日に捕らえた後もしばらくはミーナの身辺は騒がしかったと聞いた。今は始祖様の助言で不穏分子は根こそぎ処分されたから安心して良い」

 安心して良いと言われても、すぐに頷けない。王様達がずっと私と共に行動してくれていたのは、私の身の安全を確保してくれるつもりだったのだと思うと、ただただ頭が下がる。エリゴスさんが、私を「嫌いだ」と言外に表していたのも、企みに加担しているのでは?今から子供達をたぶらかして同じような企みをもっているのでは?と警戒していたからなのだろう。

「知らぬ内に皆さんに大変な労力をかけました。すみません。ありがとうございます」

「私は何もしていない」

 プイッと横を向いたエリゴスさんの赤く染まった耳に和み、少しだけ肩の力がぬけていった。

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