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もふもふの王国  作者: 佐乃 透子
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使者団到着 2

「ちびもふ?」

 青年は無表情で、それでも不思議そうに軽く小首を傾げてちびもふブラザーズに聞くと、飛竜達も合わせたように軽く首を振った。とは言え、とんでもない巨体なので小さなアクションでも風圧が凄い。子供達を胸に寄せて飛ばされないように地面に伏せた。とばっちりを受けた使者団とフォレストのお出迎えの方々が、よろめいたりどよめいたりしている事を視界に捉え、後で謝罪をしなければと誓う。飛竜が首を振るだけでここまでの影響が出たのだ。ディーバさんの魔法がなかったら、本当に命が危なかった。真ん前に居た青年は平然としていて、だからこそ竜使いなのだなと感心しつつ起き上がった。

「「ぅわ〜。すご〜い」」

 焦る私の心とは裏腹に、子供達は大喜びで瞳はキラッキラに輝いている。「下ろしてちょうだい」と言われて従うと、すぐに青年の足元に走り寄った。子供達と視線を合わせる為か青年がしゃがみこむと嬉しそうに膝に前脚をかけて説明する。

 あ、この人、優しい人なんだな〜。

 自然に視線を合わせて、子供達の話を真摯に聞いている青年は、飛竜達の態度から見ても素直で優しい人なんだろうと思う。

「俺達、獣還りでちびもふになってるけど、人なんだ」

「今だけなんだよ?でも、ちびもふって可愛いでしょ〜。じ〜じがつけてくれたの〜」

 ちびもふブラザーズが嬉しそうに告げると、青年は無表情ではあったが、態度は柔らかいままで頷いた。恐らく、この青年は心情と表情が一致しないだけなんだろう。その証拠に、顔にこそ出ないが、態度も雰囲気も雄弁だ。青年の手が、躊躇(ためら)うようにちびもふブラザーズの頭をさ迷った後で優しく着地し、ゆっくりと撫でる。気持ち良さそうにうっとりと目を閉じる子供達の姿に、彼にほんのちょっぴり嫉妬してしまう。

 ちびもふブラザーズのうっとり顔も可愛い!!認める!!だけど、それを引き出したのが私じゃないのがなんか、こう、ねぇ?

「俺、リオ。赤、イール、青、イース」

 言葉は共通と聞いたような気がしたが、リオさんの口から零れるそれは、接続詞無しの片言だった。

「お兄ちゃん、リオって言うのか?カッコイイな〜。リオ(にい)か〜」

「赤いコがイールで、青いコがイース?リオ兄のお友達?」

 「くぅ〜!!俺もリオ兄みたいな短い名前がよかったな〜」と、よく分からないところで悔しがるアルゴス君と、ひたすらに感動しているマルケス君を、リオさんは引き締まってしなやかな腕に抱き上げた。

 うん。アルゴス君は今度愛称で「アル」と呼んでみよっかな。マルケス君に「マル」はダメだよね?「マール」?

 腕の中のちびもふブラザーズにリオさんが静かに告げる。

「イール、イース、俺、兄弟」

「「一緒だ!!」」

「リオ兄、俺とマルケスは兄弟だぞ」

「うん。リオ兄は竜と兄弟なんだ〜。カッコイイね〜」

 リオさんの答えに、アルゴス君もマルケス君も大興奮で、お目々キラッキラ、尻尾はブルンブルンと忙しなく振られている。空を自由に飛び回る大きな大きな飛竜と兄弟だと言い切った事で彼の株が急上昇しているようだ。

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