ボインボインのボインちゃん
いつもどうり、どうでも良い事をさも重大ニュースでも取り上げているかの様に言う椎さん。
まったくもってこちらの調子を、毎度の事だが、狂わされてしまう。
取り敢えず、話を合わせるか。
「………へぇ、その子、どんな子だったんですか?」
俺は視線を今朝買った週刊誌に向け直し、適当にページをめくりながら、そう返事を返した。
まだまだ本題に入れそうにない。
いつもの事だ。適当に聞いておこう。
「それがな、その子っちゅうのはな、背が低くてな、髪の毛はワイ好みのショートカットの茶髪や、おっぱいはボインボインのボインちゃんで、顔はちょっいつり目のワイ好みのロリっ子童顔やったわー」
週刊誌のページをめくる手が止めまる。
俺は隣に座っている椎さんの顔を見た。
「なんや、A君? まじまじと僕の顔見つめて。僕の顔に鼻くそでも付いとるんかいな?」
「いえ、それでその子、どんな格好してたんですか?」
「なんや興味ない風装って、あんさんもロリッ子いける口でっしゃろ? 駅前にロリ専門の店が新しく出来たさかい。どや、今度一緒に行くかいな?」
「は、ハハハ、まぁ、考えときますよ、で、その子、どんな格好してたんですか?」
茶髪のショート、ロリ顔、巨乳……よ、世の中広いし、そういうのは沢山いるよね。
「そういえば、この学校のおにゃの子が着てるブレザーやなくて、今時ポイントの高いセーラー服やったなぁ」
セーラー服……
この近辺でセーラー服の学校なんてあったか?
いや、今時セーラ服なんてネットで探せば幾らでも手に入るか……
「そ、その子、手になんか持ってました?」
「あぁ、そやな、確か、なんや妙に長細い杖みたいなもんをもってた様な……はて、あれはなんやったんやろ? 腰でも悪いんやろか? それともコスプレ?」
「ま、さか………」
どうしてなんでアイツがここにいやまてアイツがここにこれるはずがないだって―――
「どうしたんや? A君? 顔色悪いで、なんや変なモンでも食ったんかいな?」
いやまて落ち着け俺。
そんなはずはない。
アイツが俺の居場所を知っている訳がないんだ。
そもそも彼奴がこっち側に来れるはずが無い。
そうだ、杖みたいなものだって、きっとアレだ、指揮棒かなんかに違いない。
それで、うちの吹奏楽部と合同練習かなんかしにきた他校の生徒に違いない。
なんだ、取り乱して損したよ。
「なんやA君? どこ行くんや?」
「ハハ、ちょっと用事を思い出したんで、俺もう帰り――」
帰ります。
その時俺は、椎さんに「帰ります」そう言いたかったんだ。
でも、俺がその一言を言う前に、