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第十一話 動禅宗 ― 火を継ぐ者たち

 三日間の山越えを経て、僕らはようやく目的地に着いた。

 ――「動禅宗 本院」。


 石造りの寺院群が霧に沈んでいる。

 地鳴りのような掛け声と炎の音。

 ここは“動きで悟る”狂気の修行場だった。


「すごい……」


「そう。ここは静寂よりも打撃を尊ぶ。

 ――“殴って悟れ”って宗派だ」


 門が開き、赤い僧服の巨漢が現れた。

 全身に炎の刺青。目は燃えるように鋭い。


「……久しいな、雨宮」


「炎ノ僧。まだ生きてたんだな」


「お前こそ。死んだと思っていたが」


「引退して隠遁生活だよ」


 炎ノ僧は鼻で笑い、僕に目を向けた。


「その小僧が弟子か?」


「ああ。なかなか面白い子だ」


「いい目をしてる。動きで叩き込む。

 ――鳩尾の火輪、第三チャクラを開け。死ぬ気でな」


 修行場の中央。

 数十人の修行僧が正座している。

 炎ノ僧が吼える。


「息を吸え! 燃やせ! 恐怖を捨てろ!」


 僕の鳩尾の奥が熱を帯びる。

 第一、第二の熱が交わり、火柱が立ち上がった。

 背骨を駆け上がる炎。


 燃える。痛い。けど、心地いい。


「これが……火のチャクラ……!」


 爆風の中で、僕は拳を突き上げた。

 炎ノ僧が笑う。


「いいぞ! その火は生の証だ!」


 雨宮は横で微笑みながら、そっと呟いた。


「……次の地獄が始まるな」

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