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第三話中編 魔王の幹部と遊ぶ男

こんにちは。中編です。

ここからは四天王最後の一人との激闘(笑)となります。

あの台詞も出ます。


どうぞお楽しみください。

 扉を開けると、そこには痴女みたいな格好の女魔族がいた。

 何でこいつら、人間を下等な生き物とか言ってるのに、高位になると人の姿を真似たがるんだろう?

 眼福だから良いけど。

 おほー、揺れる揺れる。


「貴様等! よくここまでたどり着いたな!」


 あ、いけね。

 余計な事喋られると面倒くさい。

 麻痺魔法麻痺魔法。


「ぴぎっ!?」

「何を言う! 罠も兵も置かず、人を馬鹿にしているのか!」

『ふふふ、それは違うわよ人間の英雄さん……』

「あ、頭の中に声がする……! 気持ち悪い……!」


 あー、ウィティアちゃんごめん。

 念話って慣れてないと気持ち悪いよね。


「急におかまみたいな声で喋ったりして何のつもり!?」


 あー、気持ち悪いってそっちかー。

 ちょっとしょんぼり。

 声質調整して、と。


『ここまで罠も兵も置かなかったのは、無傷で来てほしかったからよ……』

「どういう事だ!?」

『こういう事よ! 魅了チャーム!』

「いかん! あいつを見るな!」


 一人二役めんどい。


「うわっ……!」

「きゃあっ……!」

「むうっ……!?」


 俺がかけた幻惑魔法で、三人はだらんと腕を下ろした。

 これで三人とも、それぞれの望む夢の中。

 後は俺が魅了に耐性がある話をして、三人を先に行かせれば……。


「わぁい、伝説の槍だぁ。これで皆を守れるぞぉ」


 スペアル君、君は幻惑魔法かけられてても真面目だなぁ。


「すごいご馳走だぁ。はい、グレッドさん、あ〜ん」


 ウィティアちゃんの可愛さが止まるところを知らない。


「おぉ神よ! とうとう我が前にそのお姿を見せてくださるとは……!」


 ヒラールのおっさんはいつも通りっと。

 何か皆幸せそうで悪いけど、解除。


「はっ!?」

「えっ!? ここは……?」

「ゆ、夢か……?」


 我に返る前に、畳みかけちゃおう。


「気をつけろ! あいつは幻惑魔法を使う!」

『おのれ……! 英雄達を無傷で配下に加えるはずが……! 我が幻惑魔法を破る術をどこで……!』

「趣味が古本屋巡りなもんでね」

『よくも我が至高の魔法を……! 貴様だけは許さんぞ!』


 あー、一人芝居するの馬鹿馬鹿しいけど、この台詞のためだ。仕方ない。


「皆! こいつは俺が引き受ける! ここは任せて先に行け!」

「し、しかしグレッド君一人では……!」

「次に幻惑魔法で俺を敵と認識させられたらひとたまりもない! あいつを見ないようにして駆け抜けてくれ!」

「わ、わかった! ……気をつけてねグレッドさん!」

「ありがとう! 魔王を倒す役目は任せた!」

「心得た! グレッド殿も負けるでないぞ!」

「あぁ!」


 三人が奥へと駆けて行ったのを見て、一安心。

 いつも通り結界を張って、麻痺魔法を解除する。


「ぷはっ! な、何をした貴様! 身体が動かなくなったかと思ったら、勝手にごちゃごちゃやりおって! 何のつもりだ!」

「あー、ごめんごめん。咄嗟だったから色々雑になっちゃって」


 俺が軽く謝ると、女魔族はにたりと微笑んだ。


「我を舐めておるな人間……。我が名はルザール。魔王軍四天王が一角よ。仲間を先に行かせたのは健気ではあったが、それが貴様の最後にして最大の過ちとなった」


 ルザールの言葉で俺の周りにアークデーモンが十体現れた。

 八体は俺を取り囲み、上から二体が俺を狙う。

 へぇ、召喚術かー。

 なかなかの手練れだし、基本は押さえてるなー。


「塵になれ!」


 全方位からの魔法攻撃。

 俺はまともに食らった。


「他愛もない。では魔王様の加勢に向かうぞ。……どうしたお前達?」


 アークデーモン達の反応はない。

 俺が一筆書きで全部斬っちゃったから。


「な、な! ば、馬鹿な! アークデーモン十体の魔法を全方位からの受けて無事なはずが……!」

「ダメージ演出に丁度良いから食らったけど、空間転移されたら同士討ちだし、魔法反射使われたら全滅だよ? タイミングと角度をもう少し工夫しないと」

「な、生意気な! どんな小細工を使ったか知らんが、これならばどうだ! 魔界の竜巻!」


 おー、すごい。

 魔物だけじゃなくて自然現象も召喚できるのかー。


「魔力を帯びた魔界の竜巻は、縦横無尽に獲物を切り裂く! さぁバラバラになるがいい! ……ば、バラバラに、……バラバ、……バ……、あれぇ!?」


 懐かしいなー。

 ちっちゃい時、叔父さんが風魔法で『高い高い』してくれた事があったっけ。

 あんまり楽しくて、「もっともっと!」って言ってたら、威力を上げ続けていた叔父さんが倒れちゃって。

 『もはや小さい山なら砂にできる威力なのに、グレッドにはお遊びに過ぎぬのか……』って落ち込ませちゃったっけ。

 その後親父と親戚総出で、如何に俺がおかしいかを並べて慰めてて、子ども心に傷ついた事を思い出した。

 風竜の長である叔父さんのためとはいえ、あんなに言わなくても良かっただろうに。


「お、お前、な、何で……!? 岩ですら砕ける魔界の竜巻が……!」

「いやー、懐かしい事思い出させてもらったよ。ありがとう」

「馬鹿な! そんな馬鹿な!」


 さてこのルザールちゃんをどうしようかなー。

 魔族とはいえ、女性の姿をしている相手を殴ったり斬ったりして遊ぶのは気が引けるなー。

 何か適当に戦意だけ折りたい。

 そうしたら『魅了以外の能力が低かったから何とか勝てた』って誤魔化せるし。

 あ、そうだ。


「これで終わりか? ならこちらから行くぞ?」

「お、おのれ……!」


 この態度、まだ切り札があるはずだ。

 それを遊んで倒したら、流石に降伏してくれるだろう。

 後は口裏合わせを頼んで、よし! それでいこう!


「後悔するがいい! 我が最強のしもべ! ディアマンド・ゴーレム!」

「ギイイイィィィ!」


 お! なかなかいいの持ってるじゃん!

 世界屈指の硬度を持つディアマンド鉱石。

 作るの大変だし買うと高いからって、修行中あんまり斬らせてもらえなかったんだよなー。

 久しぶりに斬れる!

 本気出すと一回で終わっちゃうから、手加減してっと。


「よっ」

「ギッ」


 あ。


「いやあああぁぁぁ! 我が、我がゴーレムが真っ二つうううぅぅぅ!」

「え、あ、ごめん! でも待って! 手加減はしたんだ! したんだけど、ディアマンドだよね!? 柔らか過ぎない!?」

「柔らかいわけないでしょう!? 純度七十五パーセントのディアマンドに硬化銀を混ぜてるのよ!?」

「あー、それでかー。純度百パーセントじゃなかったのかー」

「そんなもの加工できるわけがないでしょう!?」

「そうかなぁ。とりあえず直すね」


 お詫びの印に直すと、またルザールちゃんが叫び出した。


「いやあああぁぁぁ! 何で一瞬で直ってるの!? 嘘でしょ!? 信じられない!」


 いやそんな事言われても、直るんだからしょうがない。


「今ので主人設定が初期化されちゃったから、再度設定してくれる?」

「やだあああぁぁぁ! そんな得体の知れないもの扱いたくなぁい!」

「でも俺を主人設定すると戦えないし」

「もう何言ってるのかわからない! 逃げ出したい! おうち帰りたい!」


 あちゃー、ここまでするつもりじゃなかったんだけどなー。

 泣いてるし腰抜けちゃってるし、どうしようこれ……。


「何をしておるルザール」

「! ま、魔王様!」


 あれ? 何で魔王がこっちに来るんだ?

 あの三人なら勝てる相手だったはずだけど……。

 !


「……グレッド、さん……。に、げて……」


 魔王の手にはウィティアちゃんの頭が握られていた。

読了ありがとうございます。


予想外の事態!

魔王に捕まったウィティアの運命は!?

スペアルやヒラールは無事なのか!?


と盛り上げたところで、グレッドですからねー(遠い目)。


後編にして最終話は夕方頃投稿いたします。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ツッコミどころが多すぎて……! 改行されるたびに、笑いどころ、ツッコミどころがあらわれて、ヒィヒイ笑ってしまいました。 しかし三人組。 皆さん心がキレイで、実は……みたいな人間が紛れ込…
[一言] ぐ、グレ~タ~デモ~~~ンの養殖(笑)
[良い点] 魔王様こっち来ちゃった! ここからどういつものプレイに持ち込むんだ? グレッド君? ウィティアちゃんの生首が見ているぞ!
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