猫又店主の興味
「今日も騒がしいにゃあ、最強師弟。」
商店街の中でも異彩を放つ、此岸の物を取り扱う商店『人さんこちら』にて。
商品棚に新しく並ぶ哺乳瓶や粉ミルクと睨めっこをする心和と黒を見て猫又店主はけらけらと笑った。
『人さんこちら』の商品棚には育児用具など並んでいなかったのだが、ドタバタとやってきた心和と黒が求めたため新しく並べられた。
長らく此岸に住んでいた猫又店主______三毛は、その記憶を活かして此岸のものを再現する術使いだ。
「この粉とこの粉に違いはあるのか?」
「心和さま〜、そいつは風呂に入れる粉なんだよにゃあ。粉ミルクじゃないにゃ。
ところでおふたりさん、赤子でもこさえたのかにゃあ?」
「できるわけないだろ(ないじゃろう)!!」
「というのは冗談にゃ。うぅん、此岸からの小さなお客さまがお見えになったのかにゃあ。」
「私が拾ったのだ。」
三毛は人間が大好きな妖としてこの商店街では有名だった。
そんな三毛が、このような2人をみて放って置けるはずがない。
協力者が欲しいこともあり、しぶしぶ心和がこれまでの話をした。
途端に三毛の瞳が輝く。
「ほほーーーーぅそれはそれはそれは。成長が楽しみだにゃあ♪
お代、全体の小判の2割だけまけてやるよ。
残りのお代はその緋雨を連れてくることで良しとするにゃ!!」
有難いが面倒くさい______そんな表情を見抜いた三毛はまたけらけらと笑った。