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爆撃機の編隊と戦えとおっしゃるんですか
私たちは戦闘機乗りだった。大空を自由に駆け、太陽に最も近づける天空の騎士。
いいえ。その実、戦争屋でただの殺人鬼です。軍人だから軍人を殺すことは許されているけれど。私たち戦闘機乗りにとって殺す相手の顔が見えることなんてほとんどない。
「高度4000m、索敵陣だ」
高空の世界は人間には広すぎた。地上で見上げるような巨大な戦車が、ここからは人と蟻のサイズ差で見える。当然、人間などゴマ粒以下だ。
広大な緑の世界で人間の占める領域など微々たるものなのかもしれない。首都で見下ろした広大な街を考えるといつか人間が自然を支配してしまう時もくるのではないかと、ありもしない想像を巡らしたものだ。
『かなめっ、10時方向、距離8000、爆撃機編隊!!!』
無線から僚機の報告が聞こえる。
私たちは戦闘機乗りだった。翼はボロボロでその姿はもはや敗残兵に過ぎない。
母港は破壊され、浸透襲撃の末に、私たちはすでに包囲されている。
願わくば、未来の空を、飛んでみたかったもの——
お題:傷だらけのパイロット
最後駆け足になりがち




