第6話 〜タイラーン騎士団団長〜
それから時が流れ18年経ち、アルナスは立派な騎士になっていた。
「これは!姫様!」
「アルナス、怪我はありませんか?」
「姫様はいつも心配ばかりですね、私はもう立派な騎士であります」
「あんなに幼かった子供が立派になったものです、ほら、近くに来てごらんなさい」
姫の様子が少し変わっていた。
姫はアルナスの顔に手を当てた。
「姫様?」
「そう、気付きましたか?」
「目が!」
「まだ完全にではないですが、少しずつ見えなくなってきました」
「ひ、めさま」
「悲しまないでアルナス、私は大丈夫です」
「...」
「私は少しでもあなたの成長を見れただけでもよかったと思っています」
「ありがとうございます」
アルナスは涙を流しながら言った。
ルナは成人になるとともに少しずつ体に異変が起き、目が見えづらくなっていた。
そしてその一年後である。
タイラーン領地を襲う盗賊がでたと通報があり、軍を率いて盗賊の討伐へと出向いた。
「お前が噂の新米騎士か!」
「そんなにヒョロそうな体で戦えるのか?」
「...」
仲間のタイラーン兵たちにからかわれていたところであった。
「おい、その辺にしときな」
「お前は誰だ?」
「それ知ってどうするよ?」
「生意気な、!」
殴りかかってきた兵を受け流し、倒したところにのしかかった。
「だからやめとけって言っただろ?」
「...」
「大丈夫か?アルナス」
「...」
「なぁにビビってんだよ、やっちまえばいいだろ?」
「そんなやつらは相手にするほどでもない」
「たく、手間のかかるやつだ」
「このガキどもが言わせておけば!」
そしてアルナスと謎の新米兵はチンピラ兵たちと喧嘩になった。
そしてひと段落した後に寝転がって2人が話し込んでいた。
「お前剣技の成績トップだったろ?」
「お前は誰なんだ?」
「あー、おれか??お前の次席だよバーカ」
「バカとはなんだ!」
「俺は眼中にもなかったってことか」
「俺には守りたいものがある、それのためには首席でも足らない」
「守りたい、者ね」
「そういえば、名前を聞いてなかったな」
「あー、俺の名はフェイクとでも言っておくか」
「フェイクか、今日は助かったよ」
「あー!困ったときはお互い様さ」
2人は笑いながら話を続けた。
そして盗賊との戦争を間近に備え、構えていた。
部隊長の合図で一斉に盗賊の拠点を叩く。
凄まじい勢いで、盗賊たちは足掻き、タイラーン兵と剣を交えた。
「おい!しねーーーー!」
「危ない!フェイク!!!」
「!?」
フェイクを襲わんとする盗賊をアルナスが斬り倒した。
「おー、やるじゃないか!」
「次来るぞ、ほら!」
「おい、みろよ!アルナス!」
「あれは?」
「おそらくあいつが親玉だ」
「俺が注意を引きつける!その隙にやってくれ!」
「おい!」
フェイクは素早い足で盗賊の親玉に斬りかかった。
その隙を突き、アルナスは親玉の首を跳ねた。
「やったな!アルナス!」
「...」
「皆のものきけ!お前らの親玉の首はとった!!剣を捨てれば命までは奪わぬ!」
盗賊たちは渋々と剣を捨てて投降した。
「アルナス!やるじゃないか!」
「それほどでもない」
「これ、帰ったら王様にいくらもらえんだろな?」
フェイクはアルナスに休むまもなく話し続けた。
「そかそか、好きな人がいるのか!」
「んー...」
「って、それってルナ姫じゃん!」
「私も身の程はわきまえておる」
「それでも好きなんだろ?あ、ね、いやその姫さまをさ」
「...」
「まぁ任せておけって!」
「なにをだ?」
という間に討伐隊は都に帰還した。
「よいか?アルナス、お前の夢絶対俺が叶えさせてやるよ!先に帰るわー」
「おーい!フェイク!」
その言葉を言い残しフェイクは去っていった。
そしてその夜に盗賊討伐隊は勝利の宴が開かれ沢山の人々と騒がしい夜を迎えていた。
街の人たちも全ての仕事を忘れてお祭りのような騒ぎになり、祝杯をあげている。
花火による火薬の匂い、浴びるほど飲めるお酒、男女はダンスに、食べるものがぎっしりと詰まったテーブル
どれも見たことのないような光景であった。
そして開かれた、昇進式にアルナスが呼ばれた。
「小隊長、アルナス!そなたは騎士団学校を首席で卒業、盗賊討伐隊では優秀な戦いを見せた!さらにわが国の王子ハイデル・R・タイラーン王子を護衛して戦ったとされ、そなたは時期騎士団団長として任命する」
「ん!?」
「そなたを称えたのはわが国であり、時期王になられるハイデル様からの祝辞である、謹んでお受けなさい」
「承知」
「我が名はハイデル・R・タイラーンである、この祝辞はそなたを一国の騎士団団長として命ずると共に、そなたがおもう願いを一つ叶えるとすべての民に誓う、そして更なる飛躍を期待する」
「おい、ビビってんじゃねーよ」
「フェイク!?お前なぜそこにいる!」
「おー!ハイデルと呼びな!友よ」
盗賊討伐で一緒に背中を預けて戦った戦友はハイデル王子であった。
あまりにもびっくりするアルナスは言葉も顔の表情もどうすればよいかわからず、戸惑っていた。
「お前の願いはもうきいておる」
「あれはち、ちがう、ちがいます」
「楽に話せ、おれの命令だ」
「いや、それでも」
「いいから!いいから!、では俺の、いや、私の姉をお前に託す」
「まだ、そのことは」
「姉上は了承ずみだ、晴れてお前に貴族の名前を与える、今は亡き我が叔父の苗字だ!これを継いでくれるか?」
「そんな大役を!」
「お前は今日からアルナス・ラフィールだ!」
「ラフィール家!?あの剣技で優れていたあの!ラフィール家ですか?」
「さよう!王命だ!お前は姉と結婚し、ラフィール家を継いでもらう!」
アルナスは功を称えられ、王命により代々、王を守っていたとされるラフィール家の名前を授かり、さらに王の姉であるルナ・R・タイラーンとの結婚を命ずられらた。
これにより、アルナスは騎士団団長となり、アルナス・ラフィールとなった。