投獄され、連れ出され、脅され
前回、の結果。当然のように私は今牢獄に閉じ込められています。雪姫様が「守ろうとしてくださったのは事実ですし、そこまで厳しい罪を与えなくてもいいのでは?」と一言述べられたおかげで、なんとか私への刑罰は死刑から、一旦保留へと変わった。いや、一旦って。いつまでここに閉じ込められるのかわからないってのは終身刑とほとんど変わらない気がするんですが!!
それでも、殺されるという気はしないんです。
牢獄といっても、椅子やテレビ、ウォッシュレット付きのトイレ。時間をつぶせるようにと本棚にはいろんなジャンルの本が用意されていて、一日三食出される食事はどれも文句のつけようがないほど美味しく、栄養バランスもしっかりと考慮されていて、壁一面が鉄柵という点を除けばごく普通の快適ライフを過ごせる一室なのだ。
ときどき巡回にくる兵士が「中二病お」だのとディスってくるのが少しさわるが、それ以外の難点は今のところ見つからない。
そうして、なかなか悪くない生活が一か月を過ぎたころ一人の兵士が俺の目前で足を止めた。
グルルルルと威嚇するような目つきで俺は兵士を睨んだ。
が、それにひるむことなく兵士はゴミを見るかのような視線を俺に向けてきやがった。
思わずこれには俺も目をそらしてしまう。
ディスられることより黙殺されるほうがよっぽどメンタルに刺さる。
「おい、お前」
「は、はいィ……」
うわあ、情けない。声が震えるう。
「雪姫様がお呼びだ、私についてこい。あと前みたいな失礼な態度やおかしな発言をした瞬間私のこの刀がお前を黙らせるからな覚悟しておけ」
言い終えた後、兵士はカチンと腰に付けた刀を鳴かせた。
目は完全に獲物を捕らえた猟犬のように鋭く殺気を放っていた。一歩でも動けば殺される、そんな恐怖心が俺の心を軽くたたいた気がした。
俺は兵士に言われた通り、後についていくことにした。いやついていくしかなかった。殺されるもん。
螺旋状に上に伸びていく階段をのぼり終え、最上階。
広い廊下に敷かれた赤いカーペットはモフモフで、雪の上でも歩いているような感じだった。許されるなら思いっきりゴロゴロしたいところだが、そんなことをすれば間違いなく殺される。
「ついたぞ、ここが王室だ。この扉の向こうには雪姫様と我ら国王がおられる、粗相のないようにな」
カチン。
だからそれw
なんで刀をいちいち鳴らすかな。二回目はさすがに驚かないよ。ちょっと怖いけど。