よろしくお願いします。
久々の更新でお待たせしてしまいすみませんっ。これからも結構忙しかったりして更新が遅くなってしまうのですが、よろしくお願いします!また、拙い文章ですみませんっ。
少し文章変えました
微かにパタリと音がする。きっと玄関の扉が閉まった音だろう。その音で、ただじーっと後ろ姿を見つめていただけの私の意識が元の状態に戻る。
さっきのは一体何だったんだろう……?
この世界に来て、ほんの1時間しか経っていない私は、ディールさんの近くにいる人や過ごしている環境を知らないし、ましてやこの世界すらまだ把握しきれてない。そんな私に、先程ディールさんが誰を見つめていたのか予測する余地もないのはわかりきっていることだった。
でも、そんな恋愛経験も知識も皆無な私にでも1つだけわかったことがある。ディールさんがそれほどその人を愛していることだ。それだけは、あの表情から痛いほどに読み取れた。
にしてもあれだ。静まり返った部屋で1人いると、なんだか取り残された感じがして不安になる。気を紛らわすために少しだけ、少しだけ部屋を見よう。物色はしないから許してほしい。
そう思って立ち上がり、反対側の壁に位置する自分よりもはるかに高い壁際の本棚を見上げる。上3段ほどは厚い本や薄い本など様々な本で、ぎっしりと覆われていた。
厚さ的に、この世界の歴史や童話、絵本なのかな?記されているものがわからないから、字が読めない不便さと、幼い子どもが興味がる感覚を、嫌でも同時に覚えてしまう。悔しいな。
いつか、というかなるべく早い段階で全て読めるようにしたいなあ。そんなことを思っていると、途中に多くのキャンパスが置いてあることに気が付いた。
絵に写っている獣人は皆、輝かんばかりの笑顔で、見ているだけの私までつい、くすりと笑みをこぼしてしまう。本当にいい笑顔だなあ。これを見るとすごく、人も良さそうに思える。いや、人じゃなくて獣人なんだけれど。
そうして見て行くと、今度は伏せられたキャンパスがいくつかあることに意識が向いた。これは間違って伏せたというよりも、ほんの少しだけ埃が被っているから、前から伏せられていたのかな?
なんでここの写真だけ伏せられているんだろう?
気付きそうなものなのに、そのままということは意味があるのだとは思うけどなんだろう?とても気になる。でも、勝手にみたら悪いし、我慢しなきゃだよね。
絵を見ていたら、うずうずしてしまうから座って大人しく待とうかな。それに、そろそろ来てもいい時間だと思うし。そう思って、元の位置に戻り腰を掛けたと同時に、玄関の扉が開いた。
そこには、ディールさんと夫婦であろう若い2人が荷物を抱えた状態で並んで立っていた。この2人、さっきの写真で何度も出てきた人だ。あの笑顔を思い出して、頬が緩みそうになる。
「少し遅くなってごめんね?この人がドゥーラさんで、隣にいるのはリィラさんだよ。」
そういって、深緑色の髪をしたショートボブの男性を指しながらドゥーラさんといい、次に木の実のような榛摺色のミディアムヘアーをした女性を指しながらリィラさんだといった。
名前を紹介されるたびに、にこりと優しい笑みを浮かべているからとても可愛く見える。それに、前もって優しいって教えてもらったことと絵のおかげか、とても大らかそうな人だと感じた。
「私はミカって言います。よろしくお願いします。」
自分も紹介しなきゃと思い、そう言った瞬間、2人の目が微かに見開く。また、少しだけ表情も強張っているかのようだ。
「こちらこそよろしくねミカちゃん」
「よろしく頼むよ」
あれ、さっきのは気のせいかな?
強張っていたかのように見えた表情は和らぎ、元の優しい雰囲気を醸し出している。さっきのは見間違いか?
「ドゥーラさんとリィラさんには事情を伝えてあるから安心して。」
「わからないことや慣れないことばかりで大変よね。私達が出来ることは、するつもりだからなんでも言っていいわよ。私のことはリィラでいいわ。」
「 自分はディール君やリィラと比べて役に立たないと思うが、それでも頑張るから、いつでも頼ってくれると嬉しい。リィラと同様にドゥーラと呼び捨てで構わないよ。」
「あらあら、ドゥーラってば。こんなこと言ってるけどこの人、精霊魔法や生命学においてかなり優秀なのよ?」
「いやいや!リィラも得意じゃないか!自分なんかより断然リィラのほうが上手だよ!」
夫婦2人とも優しくてありがたい…。
いつか精霊魔法も教えてほしいところである。
「口が達者なこと。まあ、とりあえずこんな感じの家なんだけれど、これからよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします!」
ともあれ、この人達となら新しい日々を楽しく乗り越えていけそうだ。
あ、そういえばミカとカタカナで書いてあるのは、異世界に漢字が存在しないためです。お伝えするのが遅くなりました。