女の子の扱いは大変！ 【キッチンカー見取り図掲載】
本日２話更新。
こちらは２話目です。
＊一部改稿。フィヴの尖り過ぎた性格に関するシーンを書き直し。
キッチンカー内の掃除を始め、そろそろ最後の仕上げをと滅菌液を吹きかけながら乾拭きをしていると、フィヴが家から飛び出して駈け込んできた。
「おい、こら！ 掃除してんだから静かに入ってきてくれよー」
「だって、何処へ行ったのかと思って心配したのっ…さっきはごめんなさい…トールが私を気遣ってくれてのことなのは分ったんだけれど、下着？がなぜ必要なのか理解できなくて…でも、トールの貸してくれた服を着たら分かった…」
謝罪に来てくれたのにはホッとしたが、俯いて赤面しながら伝えられると、俺の方としてもまた慌てふためきたくなるっつーか、こっちまで恥ずかしくなる！いかんせん、内容が女子の下着についてだから、なおさらだ。
俺が与えた衣服は男物で、それに割とゆったり着たり履いたりできる物を選んだ。女物が無いせいでもあるが、いままでフィヴが着ていた衣類を見ると、やはり身幅がある厚手の物だったから、それと同じような着心地の方がいいだろうと思ったんだが。
でも、マントは着ない。つまり、尻付近を覆い隠すような上着は無いのだ。ワークパンツ一枚だと、尻尾用に開けた穴の隙間から素肌がチラチラ…げふん！ってことになる。だから、その下にもう一枚薄手の物を身に付けるんだ、と実感したらしい。
「まあな、脱ぎ着が大変だろうけどしばらく耐えてくれな」
「大丈夫！気になる点があったら、自分で工夫してみるわ。手が掛かると思うけど、許してね？」
「フィヴ…気負うな。色々あってさっきこの世界へ来たばかりなんだ。それに……連れてきたはいいけど、フィヴをあちこち連れ歩くことはできない。不自由させるかと思う。でも、少しでも心落ちつけてから帰れるように…な？」
「うん…ありがとうっ」
こくんと頷いたフィヴの頭を撫で、そこで俺はなんだか彼女を女の子としてじゃなく妹のように思っている自分に気づいた。
最初に出会った時、オッドアイのケモ耳美少女だと騒ぎはしたが、そこには異性へ感じる下世話な感情がほとんど含まれていなかったことを思い出した。他の男なら、ごく普通に可愛い女の子＝彼女にしたい！と妄想するんだろうが、それよりも先に保護欲の方が勝っていて、遠く離れて一人暮らしをしている妹を心配する兄気分で、《個人》であり《異性》だってことを隅に追いやってしまっていたらしい。
それを恥ずかしながら告白すると、フィヴは噴き出して腹を押さえて大笑いした。
「トールのそれって、兄よりも母さんみたいだわよっ」
それを聞いて、俺は凹んだ。
その夜、フィヴには祖母の部屋で眠ってもらった。布団の感触に喜んでいたと思った、次の瞬間には寝息をたてていた彼女には笑ってしまった。
心身ともに色々な感情に振り回されて緊張し、凄く疲れていたんだろう。安全で静かなこの部屋で、ゆっくり眠りについてくれ。
そう願いながら、俺は自分の部屋へと引き上げた。
◇◆◇
俺は夢を視ていた。
自分の指先すら見えない真っ暗な闇の中で、上下左右の感覚はなく、ただ浮いている。
―――ソロッタ！―――
―――スベテ ソロッタ！―――
―――コレデ ツナガル コレデ モドレル―――
―――ハヤク ハヤク！！ イソイデ！―――
―――セカイ ガ オワッテシマウ マエニ―――
男とも女ともつかない幼い子供の声が、反響を伴って耳に届いた。
早く早くと急かす声は悲痛な焦燥感を帯びていて、それが舌足らずな子供の声だから、酷く切なく辛かった。
『急かすでない！ いくら直されておると言うてもな、ワシは元々老体なのだぞ！ 壊れてしまえば一巻の終わりだ！』
今度は爺さんの一喝だった。
一瞬、俺が叱られてるのかと思ったくらいの大声で、でも内容的で子供たちあてだと分かった。
あんたらは誰だ？と尋ねたかった。
なんの話をしているのかと、訊きたかった。
しかし、どう頑張っても声は出なくて、ただ浮いて彼らの話を聞いてるしかなかった。
『しかし―――は酷いのぅ。こんなジジィに苦行を強いるとは。やっとの思いで溜めこんだ力だと言うに…ワシを大事にしてくれた主に報いようと溜めたのに…―――も―――じゃ』
ジィ様は一喝の後で、愚痴を続けた。
でも、聞き取れない部分があって理解できない。
―――アリガトウ アリガトウ―――
―――モウスコシ ダ ガンバッテ―――
―――チチ ガ ハハ ガ マッテイル―――
―――カレラ ガ クルウ マエニ ハヤク―――
『おうおう！分かっとる！―――の過ちで起こったことだ。文句は―――に言え！』
なんだろう…誰かの過失の尻拭いを、誰かがこのジィ様に頼んで、ジィ様が解決に奔走してるってことか？なら、この子供たちは？
過失のせいで、被害を受けた子供たちか？
「「『そうだ！！』」」
目が覚めて、まだ耳の中で最後の叫びが響いているようで、頭を振った。
なんだったんだろう…だたの夢にしては訳わからん。
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
小説内では「キャンピングカー」を改造した 設定
車幅はもっと細く、そのため床面（移動面）も狭いです。
下手ですみません(´；ω；`)ウゥゥ これが精一杯！
イメージとしては「くろ〇こヤマト」の配送車ですが、車種はト〇タエース アー〇ンサポーター。それよりも少し大きめの車を改造した営業車だと思って下さい。
